東京23区でも8割近くの人が「近所付き合い」を求めている
会社の人間関係から「ご近所」へ
「定年退職」に関する本を読んでいると、「退職で会社を離れた後の人生において重要なのは、地域での人間関係だ」という趣旨のことが、書かれていることが多いようです。
要は、これまで会社と仕事に依存していた人間関係を、「近所付き合い」に向けなさいという意味でしょう。
では、いったい、どれぐらいの人が「近所付き合い」をしているのか、国が行なった「社会意識に関する世論調査」の結果をもとに見ていきましょう。
東京23区でも6割の人は近所付き合いをしている
まず、「あなたは、地域での付き合いをどの程度していますか」という質問です。
「よく付き合っている」と「ある程度付き合っている」を併せて「付き合っている」とし、「あまり付き合っていない」「全く付き合っていない」を合わせて「付き合っていない」として集計します。
すると、5千人を越える回答者のうち、67.7%の人が「付き合っている」と回答しています。
「付き合っていない」という回答は32.1%でした。
つまり、国民の3人に2人は、近所付き合いをしています。
しかも、これは住んでいる都市の規模には、あまり影響を受けません。
近所付き合いが一番少ない「東京都区部」でも、6割近くの人が近所付き合いをしていると回答しています。
濃いめの近所付き合いを求める人が多い
次に「地域での付き合いは、どの程度が望ましいと思いますか」と質問しています。
この質問は、選択肢が5つがあります。
- (ア)住民全ての間で困ったときに互いに助け合う
- (イ)気の合う住民の間で困ったときに助け合う
- (ウ)住民がみんなで行事や催しに参加する
- (エ)住民の間で世間話や立ち話をする
- (オ)住民の間であいさつを交わす
- (カ)地域での付き合いは必要ない
回答を見ると、助け合うことを求めている(ア)と(イ)だけで、60%を超えます。
つまり、近所付き合いで困った時に助け合うことが必要と考えている人が、6割もいるのです。
さらに、行事への参加である(ウ)まで含めると、80%以上を占めます。
かなり多くの人が、共同で何かをしたり、助け合いをするような濃厚な近所付き合いを求めていることが分かります。
この質問でも、住んでいる都市の規模は、あまり影響していません。
東京都区部でも8割近くの人が、共同での行事や催し以上の近所付き合いを求めています。
男女や年齢でも大きな差はない
上の2つの質問では、住んでいる都市による回答の差が、あまり大きくありませんでした。
つまり、都会だから、過半数の人が近所付き合いを求めていないというようなことは無いわけです。
では、「近所付き合い」に対する考え方は、男女別や年齢別では違いがあるのでしょうか。
「地域での付き合いは、どの程度が望ましいと思いますか」という質問の回答を、男女別と年齢別に見てみましょう。
すると、「男性の方が近所付き合いに対して求める度合いが少ない」という特徴があります。
また、「年齢が進むにつれて、近所付き合いを求める度合いが多い」という傾向もあります。
しかし、いずれも数%から十数%程度の差しかありません。
男女、どの年代をとっても、近所付き合いは「立ち話」や「あいさつ」を交わす程度で良いと考えている人は、少数派なのです。
ましてや「近所付き合いは必要ない」と考えている人は、多くても1~2%に過ぎません。
これまでまったく近所付き合いをしてこなかった人は、まずは、ご近所の人に遭ったらあいさつをするあたりから始めてみましょう。
今回の調査結果によれば、近所付き合いをしたいと思っている周りの人は、たぶん、あなたが思っているよりも多いのですから。