6割以上の人は、共同利用の墓地を「利用しても良い」と思っている
東京都が行なった「お墓」のアンケート
東京都が運営する都立霊園は、都内に8カ所あり、約28万人が利用しています。
東京都は、霊園の管理者としても大きな存在なのです。
この記事では、東京都が霊園の管理の参考にするために行なった、お墓についてのアンケート結果を紹介します。
2015年11月に行なわれたアンケートでは、都民478人が回答しています。
一緒のお墓に入りたいのは「家族」
「一緒にお墓に入りたい人」という質問で、一番多いのは「家族」でした。
しかし、2番目に「特にこだわりは無い」が入っています。
家族で一つのお墓に入るという形式に、こだわりが無い人も多いことが分かります。
「夫婦」は、3番目でした。
半分近い人は「共同墓地でも良い」と考えている
都立霊園では「合葬埋蔵施設」や「立体埋蔵施設」という名称で、共同で利用する墓地を提供しています。
このような共同利用形式の墓地の利用については、「利用しても良い」という人の方が多く、「利用するつもりはない」を上回っています。
さらに「積極的に利用したい」という人も合わせると、肯定派は6割を超えます。
お墓は家族や一族のものという意識が薄れ、共同利用の墓地や霊園に対して抵抗を感じる人が少なくなっていることが分かります。
「手間や費用が少ない」霊園が求められる
自分でお墓を作る場合、どのような霊園を求めているのでしょう。
一番多いのは「手間や費用が少ない」霊園でした。
次が「家族や友人が集まりやすい」です。これは、交通のアクセスを想定した回答でしょう。
宗教的要素の強い「静謐/神聖な雰囲気」を求める人は少数派のようです。
「費用」が一番の問題
自分のお墓を持つ上での問題点を聞くと、「お墓の費用」や「維持管理の経費」が上位に来ます。
お墓に関わる費用が、問題と感じる人が多いようです。
3番目は、「お墓の距離と交通」で、やはり、お墓参りの際のアクセスの良さが気になるようです。
心配のタネは、お墓を引き継いでくれる人
自分でお墓を持っている場合の心配事では、お墓を引き継いでくれる「承継者」の問題が一番多くなっています。
次が「維持管理の手間と経費」、3番目が「交通の便」でした。
自動搬送式納骨堂が増加する背景
アンケート結果を見ると、家族単位でお墓を持つことにこだわっている人もいますが、一方で共同形式の墓地で良いという人も多いことが分かります。
お墓にまつわる経費や承継者、お墓参りのしやすさを決める交通アクセスなどの問題を考えると、便利で経費のかからない共同形式の霊園でも良いという人が多いようです。
都内の交通機関を利用していると、寺院の敷地内に新設された納骨堂の広告を見かける機会が増えています。
この種の新しい納骨堂は、自動搬送式と言って、通常時は納骨室に収められている遺骨が、参拝時だけ、参拝室内の墓石に搬送されるシステムです。
都内の寺院に、こういう施設が増えているのは、アンケートに表れている家族の墓から共同墓地へという流れや、経費と交通の便を重視する傾向が反映しているのでしょう。
また、自分の子供たちに、承継者としてお墓の管理を継がせたくないという思いも感じられます。