起業しても、2割以上の人は月収10万円以下
867人の起業家のリアル
自分で事業を興す「起業」に関するアンケート調査はたくさんあります。
中でも、「日本の起業環境及び潜在的起業家に関する調査」は、面白いデータが多く、公開が4年前なのに、今でも良く引用されます。
この調査は、中小企業庁が三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託して行なったものです。
2013年12月に行なわれた調査では、実際に事業を興した867人の起業家のリアルな姿が表れています。
ここでは、もっともリアルな問題である「お金」に絞って、「起業家」達の姿を見てみましょう。
開業資金がゼロの人がかなりいる
まず、事業を興すための「開業資金」と、その中の「自己資金」を見てみましょう。
恐ろしいことに、開業資金や自己資金が「ゼロ」の状態で起業した人がかなりいます。
開業資金で多いのは「50~100万円」で、自己資金で多いのは「10~50万円」です。
一方で、「3,000万円以上」の開業資金や自己資金をつぎ込んでいる人もいます。
担保を入れている人は3割
自分が興そうとした事業に対して、自己資金が足りない場合は、金融機関や信用保証協会などを利用して、借金をすることになります。
その際に、金融機関などに「保証」や「担保」を入れているかどうかを聞いています。
7割の人は、保証を入れていません。
しかし、全体の3割の人は「自分自身」や「家族や親族」、「親族以外の第三者」が保証を入れています。
意外なほど多くの人が、保証や担保を差し出してもらうという形で、家族や親族、さらには第三者を自分の起業に巻き込んでいることがわかります。
月収は「20~40万円」が最多
起業した結果の、手取りの月収は「20~40万円」が一番多くなっています。
次に多いのが「10万円以下」で、全体の2割を超えています。
そして、全体の6割以上は「40万円以下」に留まっています。
収入に満足している人は3割
起業家たちは、自分の収入に満足しているのでしょうか。
起業後の収入への評価を5段階で聞くと、程度の差はあっても「満足している」人は3割強です。
収入については、「満足している」「どちらともいえない」「後悔している」に、ちょうど3等分されています。
起業したことに満足している人は5割
一方、「起業したことへの全体評価」では、「満足している」人が5割を超えます。
金銭的には報われていなくても、仕事のやりがいや、プライベートとの両立などの面で評価が高くなっています。
ただし、起業後も金銭的には苦しい状況が続く可能性が高いことは間違いありません。
借入金や退職金を使った過剰な投資や、家族/親族/第三者などを巻き込んだ信用保証には、慎重な姿勢で望むべきでしょう。