勤め人が参加しやすい、新しいお葬式「夕刻一日葬」

[2018/6/10 00:00]

「夕刻一日葬」という新しい形式

葬祭業者のイオンライフが、「夕刻一日葬」という新しい形式のお葬式の受注を始めています。

「夕刻一日葬」は、通夜がない一日葬ですが、一般的な一日葬と違い、火葬後の夕刻より告別式を行ないます。

告別式が夕方からなので、日中に仕事のある人でも、告別式に参列しやすくなっています。

「夕刻一日葬」のセットプランは、参列者が20人程度の想定で、32万5千円(税別)となっています。

一般葬では「通夜」に行く人が増えている

現在の一般的な葬儀は、1日目の夕刻に「通夜」を行ない、2日目の昼間に「告別式」、その後に火葬という日程になっています。

しかし、平日の葬儀の場合、日中に仕事がある会社員は「告別式」に参列することが難しく、夕方から行なわれる「通夜」に参列することが増えています。

このため、本来は家族や親族による私的なイベントである「通夜」が、公的なイベントとなってしまっています。

本来の「通夜」の機能である、遺族が故人を偲んで語り合うような時間と空間が確保できなくなっているのです。

一方で、「通夜」は私的なイベントという意識も残っているため、公的なイベントである「告別式」と両方に参列する人が多く、2日連続で時間を費やしてしまうことも珍しくありません。

「通夜」のない一日葬でも負担が大きい

近年は、通夜を行なわず、告別式から火葬までを1日で行なう「一日葬」も増えています。

しかし、一日葬では、告別式や出棺が午前中になってしまうため、昼間の仕事のある会社員などは参加しにくくなってしまいます。

出典:イオンライフ

「夕刻一日葬」の告別式は夕方から

イオンライフが提案している「夕刻一日葬」は、一日葬のイベントの順番を見直すことによって、遺族への負担を減らし、外部の人も参列しやすくすることを狙っています。

夕刻一日葬の行事は、午後から始まるため、遠方から駆けつける親族なども参加しやすくなっています。

まず、「納棺の儀式」から始まり、故人との最後の対面である「お別れの儀式」を行ないます。ここから、「出棺」「火葬」までは、故人とごく親しい家族や親族による私的なイベントとして行なわれます。

一般の参列者を招く「告別式」は、夕刻から行なわれるため、仕事帰りに参列しやすくなっています。

出典:イオンライフ

「夕刻一日葬」の場合、告別式は「御遺体」ではなく、火葬後の「お骨」の状態で行なわれます。

なじみのない方もあるでしょうが、これは「骨葬(こっそう)」と言って、地域によっては珍しいことではありません。

また、遺族にとっても、御遺体が多くの人の目に触れるよりも、骨葬の方が気持ちの負担が少ないという利点もあります。

「私的」な時間を取り戻すための試み

「夕刻一日葬」の利点は、単に会社員などに参列していただきやすいというだけではありません。

私的なイベントである「密葬」と、公的なイベントである「告別式」をうまく切り分けることで、遺族が御遺体と向き合う時間を作るという点でもメリットがあります。

また、親族以外の参列者を排除してしまう家族葬に比べても、「告別式」という外に向けた窓口が用意されているというメリットがあります。

しかし、「夕刻一日葬」が向いているかどうかは、葬儀の対象となっている故人がどのような立場であるかということに左右されます。

故人が現役の会社員で、参列者にも会社員が多い場合は向いているでしょう。

逆に、家族や親族以外の参加者が少ないことが予想される場合は、他の形式を考えた方が良いでしょう。

今後、「夕刻一日葬」が定着するためには、こういう特性が理解されることが必要となるでしょう。

[シニアガイド編集部]