年収が4分の1に下がる場合もある「役職定年」
役職定年に関する調査
シンクタンクの明治安田生活福祉研究所が、「50代・60代の働き方」に関する調査結果を公開しています。
2018年2月に行なわれたインターネット調査のうち、ここでは「役職定年」について紹介します。
「役職定年」の経験者は4割
「役職定年」は「定職制」とも呼ばれます。簡単に言うと、役職ごとに定年が設定されており、一定の年齢に達すると、その職から外れる制度です。
60代前半の1,000人の回答者のうち、「役職定年」を経験している人は40.5%でした。
それなりの割合の人が、役職定年によって、役員や管理職などの役職から外れていることが分かります。
役職定年の9割は年収が減る
役職定年を経験した人の90%以上は、役職定年によって年収が下がっています。
恐ろしいことに、10%前後の人は、年収が役職定年前の4分の1以下になったと回答しています。
一方、年収が変わらない人が6%、年収が増えた人は1%しかいません。
年収が下がるほど、モチベーションも下がる
役職定年により、年収が下がった人の6割は「モチベーションが下がった」としています。
やはり、大きく年収が下がった人は、モチベーションも下がりやすいことが分かります。
面白いことに、年収が下がっていない人でも、2割は「モチベーションが下がった」と回答しています。これは、おそらく役職を離れたことによるものでしょう。
異動があってもなくても問題はある
役職定年に伴って、所属を異動した人は、約30%でした。
70%近くは、もとの部署のままです。
異動した人も、異動しなかった人も、7~8割の人は、「異動があって/なくて」良かったと肯定的に受け止めています。
「異動があって良かった」という人が挙げた理由は、「元上司が所属内に残ると、新しい役職者がやりにくいと思うから」という人間関係によるものと、「勤務時間の面で楽になったから」という職場環境に関することが多くなっています。
「異動がなくて良かった」という人が挙げた理由は、「それまでの知識・技能・経験が活かせたから」という自分の経験が活かせるというものが多くなっています。
逆に言えば、役職定年後に異動がないと、これまでの部下との人間関係が悩みとなり、異動があった場合は、未経験の環境で自分の知識や技能が活かせないことが悩みとなります。
50歳を前にしたら役職定年後を想像してみよう
明治安田生活福祉研究所による調査では、役職定年について、年収の低下や、地位の喪失、人間関係の混乱、自分の経験を活かせないなどの問題点が指摘されています。
しかし、これらの問題をすべて解決できる対策はありません。
役職定年を迎えた人は、どこかで折り合いをつけて、定年または定年後も働かなければなりません。
多くの企業では、役職定年は50代のどこかに設定されています。
50歳を前にしたら、今の役職を離れた自分を想像して、役職定年後にどのような会社人生を送るのか、考えてみましょう。