銀行で投資信託を買った人の46%は損が出ている
金融庁が公開した衝撃的な資料
金融庁が、銀行が販売している投資信託について公開した資料の内容が話題となっています。
この資料は、もともと銀行が販売する投資信託について、顧客が分かりやすい成果指標を作るための参考として公開されました。
ここでは、代表的な2つのグラフについて、そのグラフが意味するところを紹介しましょう。
投資信託で儲けている人は半分しかいない
最初のグラフは、「運用損益別顧客比率」です。
これは簡単に言うと、銀行で投資信託を買ったお客さんの何%が儲けており、何%に損失が出ているかという棒グラフです。
左から見ていくと、投資した金額から「-50%未満」、つまり投資したお金が半分になってしまった人が「0.9%」います。
右に見ていくと、一番多いのは「-10%以上0%未満」で35%います。
そして、投資の結果、損失が出ている人の割合は「46%」でした。
銀行で投資信託を購入した人の半分近くは、元本割れしていることになります。
逆に、投資によって利益が出ている人は「54%」でした。
儲けている人の方が、少し多いとはいえ、大雑把に言うと、儲かるか儲からないかは半々です。
たとえ銀行で勧められた商品であっても、投資信託は必ず儲かるものではなく、半分近くの人は元本割れしてしまうことが分かります。
高いから儲かるとは限らない
もう1つのグラフは「投資信託のコスト・リターン」です。
投資信託の場合、販売手数料や信託報酬などのコストは、元本に対する比率によって表されます。
同じ「リターン(儲け)」が出ても、コストが高ければ、自分の儲けは少なくなります。
そのため、高いコストを要求する投資信託は、それに見合った良いリターンをもたらすことが期待されています。
しかし、グラフをみると、横軸のコストが右よりにある“高い”投資信託でも、縦軸のリターンが上にある(儲かっている)とは限りません。
金融庁では「コスト・リターンを検証したところ、両者に明瞭な関係が認められず、コストに見合ったリターンは必ずしも実現していない」と結論しています。
分かっていたことでも、公になったことに意味がある
今回の資料で分かったことは、次の2点です。
- 投資信託が必ず儲かるとは限らない
- 高い投資信託の成績が良いとは限らない
これらは、以前から投資の心得として言われてきたことです。
しかし、金融庁が実際の数字を基にしたグラフを公開し、今後はそれを公開することを金融機関に呼びかけたという点が大きなポイントです。
シニア層には、「銀行」に対して、強い信頼感を持っている人を見かけますが、「銀行で売っている」からと言って、「必ず儲かる」とか「元本割れしない」ということはありません。
自分自身で、その金融商品の特性を確認して、その上で投資をするよう心がけましょう。