乳がんと分かったら、今の会社で働き続けたい人は半分しかいない

[2018/8/22 00:00]

乳がんと就労に関するアンケート

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険が、「乳がんと就労に関するアンケート」の結果を公開しています。

このアンケートは、2018年7月にネット経由で行なわれ、20代~50代の有職女性1,091人が回答しています。

今の会社で働き続けたいという人は半分しかいない

「あなたは乳がんを罹患したら、今の仕事を続けたいですか」という質問に、「続けたい」という人は51%しかいませんでした。

つまり、乳がんと分かったら、今の会社で働き続けたいという人は半分しかいないのです。

「続けたくない」という人が28%、「わからない」が21%でした。

出典:データを基に編集部が作成

今の会社では通院もできない

「あなたが乳がんを罹患したら、今の仕事を続けたくない理由は何ですか」という質問の回答は1つではありません。

上位は、「通院などの休みがとりづらい」「仕事量が多い」「労働時間が長い」など、仕事の量や勤務時間が長いことが挙がっています。

つまり、今の会社では忙しすぎて通院もできないと考えている人がたくさんいます。

また、「今の会社の人に乳がんであることを知られたくない」や「今の会社の人に乳がんであることを伝えても理解してもらえない」など、会社や上司に対する不信感も理由として挙がっています。

出典:データを基に編集部が作成

がん罹患と就労について研究・活動を続けているキャンサーソリューションズの桜井なおみ氏は、今回の調査結果について、次のようにコメントしています。


 女性の乳がん罹患者は、1ヶ月以内に離職する早期離職率が大変高く、その背景として調査結果にあるように、「労働環境・仕事量を変えたいと思っていても、変えられないと諦めて辞めてしまっている」人が多いのではないでしょうか。

 病気になっても仕事を辞める必要はありません。がん相談支援センターや上司・人事労務担当者、患者会に相談してみる、国や会社の制度を活用するなど、一人で即断即決はせず、どうすれば仕事を続けられるかを考えましょう。

乳がん検診を受けている人は67%

「 あなたは、乳がん検診をしたことがありますか」という質問に、「はい」と答えている人は67%でした。

だいたい、3人に2人は、乳がん検診を受けています。

年代別にみると、年令が高くなるほど、乳がん検診を受けている率が高くなります。

出典:データを基に編集部が作成

この結果について桜井氏は、次のようにコメントしています。


 対策型検診(死亡率の減少を目的に行なう有効性が確立されたがん検診。例えばお住いの自治体やお勤めの会社で実施している検診を言います)の対象年齢に相当する40代以降の7割以上は乳がん検診を受けており、働く女性の健康管理に対する意識の高さを感じます。

 また、20代~30代の約6割は「乳がん検診を受けた」と回答していますが、この世代の乳がん検診の有効性はまだ確立されていません。職場などで女性の健康管理や検診に対する正しい知識の普及、つまり「おとなのがん教育」が重要です。

[シニアガイド編集部]