「保険金を使ってタダで自宅を修理できる」と誘う業者に注意
「タダで修理できる」と誘う業者
国民生活センターが、「損害保険を使って無料で住宅の修理ができる」と言って、家屋の修理を誘う建築業者に対して注意をうながしています。
保険金が受け取れない場合や、受け取れても高額な手数料を請求されるなど、問題のある手口が明らかとなっています。
ここでは、代表的な手口の相談例を2つ紹介します。
事例1:申込時に手数料に関する説明がない
突然事業者が訪れ「風水害や雪害などが原因で家屋に壊れたところはないか。損害保険で負担なく修理ができる。当社で見積もりを出し、保険適用されれば保険金が出る」と言われたので、数年前の大雪でベランダの屋根がゆがんだことを話した。後日その事業者の調査員が来ると言われ、申込書にサインした。
その後、契約している保険会社に問い合わせてみたら「あやしい話ではないか」と言われ、心配になった。
申込書をよく見たら「保険会社に認定された保険金額が、見積金額より大幅に減額され修理工事が困難な場合は、30%の手数料を払う」と記載されていた。30%の手数料の話は聞いていないし、保険金額によって修理工事をするかどうかが決まるのも不審なので、この事業者への申し込みをやめたい。(70代女性)
この事例のように「請求サポート手数料」などの名目で、保険料の何割かを支払うよう求める業者がいます。さらに、クーリングオフで工事契約を解約しても、手数料は対象外だと押し切って請求する悪質な例もありました。
事例2:ウソの理由で保険金を請求すると言われた
「保険適用で住宅修理」というチラシがポストに入っていた。数日後、チラシの事業者が訪問してきて「雨どいが一部破損しているので、保険を使ってすべて交換してはどうか。雪害、風水害で破損した場合は保険適用になるので費用負担なしで交換できる」と言われた。
雨どいの破損は自然災害ではなく経年劣化だと思うし、破損は一部なのにすべて交換というのはおかしい。そのことを事業者に伝えると「保険の申請のとき、私どもでうまくやるので大丈夫」と言われた。そのようなことをすれば保険金詐欺になるのではないか。(60代男性)
この事例では、保険金請求の際に保険会社に伝える破損の理由を「雪害・風水害で壊れたことにすればいい」と事業者が提案しています。
ウソの理由で保険金を請求すると、請求した人が返金を求められたり詐欺罪に問われることがあります。
また、損害保険の保険金の金額は、状況に応じて異なります。工事費に該当するだけの金額が、必ずもらえるわけではありません。
このことだけでも、「無償」や「自己負担なし」という勧誘の言葉がウソであることが分かります。
自分一人で判断せず、だれかに相談を
国民生活センターでは、消費者へのアドバイスとして、次の4項目を挙げています。
- 「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約をしないこと
- 保険契約の内容や必要書類を確認し、まず保険会社に相談すること
- ウソの理由で保険金を請求することは絶対にやめること
- 不安に思った場合やトラブルになった場合は早めに消費生活センター等に相談すること
下の図にもあるように、悪質な業者はさまざまな手段で、手数料や工事費を取ろうとします。
なにか、不審な点があったら、自分だけでは判断せず、必ず誰かに相談してから行動するようにしましょう。