賃貸住宅オーナーが「住宅セーフティネット制度」への登録をためらう理由
賃貸住宅オーナーの本音アンケート
賃貸住宅オーナーが直接募集する賃貸情報サイト「ウチコミ!」が「改正住宅セーフティネット法に関するアンケート」の結果を公開しています。
2018年8月に行なわれたインターネットアンケートには、ウチコミ! の会員111人が回答しています。
入居を拒めない代わりに、補助金などのメリットがある制度
アンケート結果を見る前に、住宅セーフティネット法について、簡単に紹介しましょう。
「住宅セーフティネット法」は、高齢者など、賃貸住宅を借りにくい「住宅確保要配慮者」を対象とした住宅を増やすことを目的に、2017年に改正されました。
新しい制度では、「住宅確保要配慮者」を拒まないという条件が課されますが、その代わりにリフォーム費用や家賃の補助が行なわれます。
ただし、制度に登録されている住宅が検索できる「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索しても、全国の登録件数は3,580件しかありません。
また、都道府県による偏りが大きく、登録件数がゼロの県もあります。
今回のアンケートは、回答者数は少ないのですが、賃貸住宅オーナーが、この制度を利用しない理由について、本音が伺える結果となっています。
制度があることを知っているのは67%
「改正住宅セーフティネット法を知っている」人は67%でした。
3人に2人の割合ですから、それなりに周知されていることが分かります。
「住宅確保要配慮者」に貸すのは「場合による」と考えている人が多い
セーフティネット法の対象となっている「住宅確保要配慮者」に部屋を貸しても良いと思っている人は30%でした。
ただし、「場合による」も含めると90%を超えます。
90%以上の人が「登録していない」
セーフティネット法に基づく登録をしている人は、たった4%でした。
ほとんどの人は登録していません。
登録しない理由は「仕組みが良くわからない」
セーフティネット法に基づく登録をしていない理由で一番多いのは、「仕組みが良くわからない」でした。
次いで「空室がない」「登録条件を満たしていない」が続きます。
「住宅確保要配慮者に貸したくない」という人は2%だけでした。
制度に対する知識不足と、拒めないということ強制
今回のアンケート結果を見ると、住宅確保要配慮者に住宅を貸すことについて「場合による」と回答している人が多く、「入居を拒まない」という条件が登録をためらう理由になっていることが分かります。
また、制度についても、リフォーム費用などの援助が中心で、家賃補助は条件付きです。このあたりが、「仕組みが良くわからない」という感想につながっているのでしょう。
「住宅確保要配慮者」へ賃貸住宅を供給することは、大きな意義があることだけに、賃貸住宅オーナーへの周知が進み、登録件数が増えることを期待しましょう。