年間11万人以上の高齢者が、県境を越えて引っ越している

[2018/9/19 00:00]

年間11万人以上の高齢者が引っ越している

総務省統計局によれば、2017年に県境を超えて住所を移した、65歳以上の高齢者は「11万3,552人」に上りました。

これは、高齢者人口全体の0.32%にあたります。

都道府県別にみると、転出が一番多いのは「東京都」で「6,370人」でした。

二番目に多いのが「大阪府」で「1,015人」です。

出典:総務省統計局

隣接する3県との移動が多い「東京都」

「東京都」から転出した高齢者の行き先を見てみます。

東京都からの転出者が一番多いのは「埼玉県」で「6,150人」でした。

次いで「神奈川県」と「千葉県」が続きます。

逆に、東京都へ転入してくる高齢者が多いのは「神奈川県」で「4,695人」でした。

次いで「埼玉県」と「千葉県」が続きます。

東京都の高齢者については、周辺の「埼玉県」「神奈川県」「千葉県」との間で、大量の転入と転出の両方が起きています。

つまり、「東京都から高齢者が一方的に流出している」のではなく、「出ていく人と入ってくる人の両方がいて、出ていく人の方が多い」という状態です。

出典:総務省統計局

「大阪府」との関係が深い兵庫県

「大阪府」の場合、転入/転出とも「兵庫県」が多く、「奈良県」と「京都府」が続きます。

ただ、「兵庫県」は転入/転出とも、奈良県の2倍以上で、大阪府との関係の深さが感じられます。

京都府の次には「東京都」が入っており、首都との人口移動も多いことが分かります。

出典:総務省統計局

男性は60代後半、女性は85歳以上の移動が多い

総務省のレポートでは、高齢者が他の都道府県へ転出する理由は触れられていません。

ヒントとなるのは、男女別に見た年齢分布です。

レポートによれば、「男性は65~69歳が最も移動率が高く、女性は85歳以上が比較的高く」なっています。

男性の65~69歳と言えば、定年を期に郷里へ戻るなど、ライフスタイルの変化がある時期です。

また、女性の85歳以上は、一人暮らしが難しくなる時期で、老人ホームなどへの入居や、子供世帯との同居の開始などが考えられます。

人生の後半になってから、住まいを移すというのは、本人も周囲の家族も負担が大きいと思われますが、それぞれの事情があって、移動を余儀なくされていることが想像されます。

[シニアガイド編集部]