これから働く人が貰える年金は「平均賃金の3分の1」が目安
2016年に就職した人が貰える年金
あなたが若く、2016年に就職したばかりとしましょう。
そして、これから年金の支給開始年齢まで働いた時に、いったいどれぐらいの「年金」が貰えるのでしょうか。
こういう条件で、各国の年金制度をもとに、OECD(経済協力開発機構)という国際機関が試算した結果があります。
ここでは、厚労省の「社会保障審議会年金部会」という会議の資料に引用された内容をもとに紹介します。
平均賃金の3分の1が目安
OECDの試算は、次のような条件によっています。
- 2016年に20歳で働き始める
- その国の標準的な年金の支給開始年齢まで働く(日本は65歳)
- 金額ではなく、平均賃金に対する割合である「所得代替率」で示される
さっそく、日本の数字を見ると「34.6」でした。
これは「平均賃金の34.6%が支給される年金の金額」と言う意味です。
つまり、「その時点の平均賃金の3分の1」が貰える年金の目安というわけです。
実感がつかみやすいように、現在の平均賃金で計算してみましょう。
日本で現役で働いてる人の平均賃金は、2017年の時点では「約430万円」です。
430万円×34.6%ですから、年金の年額は「148万7千円」です。月額に直すと「12万4千円」となります。
これだけで暮らすのは無理ではありませんが、ちょっと厳しい数字と言って良いでしょう。
夫婦共稼ぎは有効な手段
公的年金の支給額が、これぐらいの水準だとすれば、私達にはどんな対策があるのでしょう。
さきほどの数字にはいくつか条件が付いています。
- 家庭ではなく、個人単位である
- 20歳~64歳まで厚生年金に加入する前提で計算している
つまり、夫婦ふたりで、会社員として共稼ぎをして、長い期間働ければ、収入は2倍になります。
そうすれば、家庭の年金額は「24万8千円」になりますから、なんとかなりそうです。
貰える年金の金額が少ないときの対策の1つとして、「結婚して夫婦ふたりで、できるだけ長く共稼ぎをする」ことが有効であることがわかります。
厚生年金を補うための制度を利用する
もう1つの方法としては、他の年金制度に加入して積み立てることがあります。
さきほどの表に示された「所得代替率が高い国」を見てみましょう。
例えば、「オランダ」は「96.9%」です。つまり、平均賃金とほぼ同じ金額の年金が貰えます。
ただし、純粋な公的年金だけでは「28.7%」で、日本よりも低いぐらいです。
しかし、働いている人の85%以上が加入している「義務的な私的年金」が「68.2%」もあります。
「デンマーク」も同じパターンで、所得代替率は86.4%ですが、義務的な私的年金が71.6%を占めています。
つまり、日本で言えば、企業年金やiDeCo(イデコ)への加入が強制になっていて、しかもかなりの金額を毎月積み立てているようなものです。
現在の日本では、これらの年金制度への加入は任意で、強制加入にはなっていません。
しかし、「厚生年金で貰える目安が退職前の収入の3分の1」と考えれば、任意であっても、これらの制度に早く加入し、長い期間積み立てることを考えるべきでしょう。