生命保険の特約は、どれを選べば正解か

[2018/10/9 00:00]

生命保険の「特約」を考える

生命保険を契約するときに迷うことの1つに、「どんな特約を付けるか」という問題があります。

生命保険では、本体の保険とは別に「特約」という形で、カバーする範囲を広げる小さな保険をセットにすることができます。

この記事では、それぞれの特約の加入率と、それぞれの特約の内容を紹介します。

加入率は「医療特約」と「ガン特約」が多い

最初に、主な特約の加入率を見てみましょう。

生命保険文化センターでは、その特約を6つに分類し、それぞれの加入率を3,983世帯を対象にした調査によって算出しています。

加入率が一番高いのは「医療特約」でした。実に9割近くの人が契約しています。

以下、次に「ガン特約」が6割です。

ここまでは、保険契約者の過半数が加入しています。

ここからは、加入率が高い順に、1つずつ特約の内容を紹介しましょう。

出典:データを基に編集部が作成

ほとんどの人が加入する「医療特約」

「医療特約」は、病気やケガで入院したり、手術を受けたときに一時金が出る特約です。

例えば、1日入院すると5千円、手術1回ごとに10万円というように、給付金が出ます。

医療特約に加入する人は多く、今回の調査では88%でしたが、前回まではずっと90%を超えていました。

生命保険に加入する、ほとんどの人が選んでいると言って良いでしょう。

やっぱり気になる「ガン特約」

「ガン特約」は、ガンで入院したときに入院給付金が受け取れる特約です。

「ガン」と病名が分かった時点で一時金が出たり、自己負担が大きい「先進医療」を全額負担するなど、特約の内容はさまざまです。

ガン特約の加入率は60%を超えています。しかも、調査のたびに加入率が上がっており、「ガン」という病気への恐怖が増していることが分かります。

三大疾病をカバーする「特定疾病保障特約」

「特定疾病保障特約」は、ガン、急性心筋梗塞、脳卒中の三大疾病にかかった時に、所定の保険料が支払われる特約です。

その内容から「三大疾病特約」とも呼ばれます。

三大疾病は、日本人の死因の、ほぼ半分を占めていますから、カバーする範囲は、かなり広いと言えるでしょう。

三大疾病の診断が下りたときに、一定の金額が支払われます。中には死亡保険金と同じ金額が出るものもあります。

加入率は下がってきていますが、まだ40%近くの人が選んでいます。

ケガが対象の「特定損傷特約」

「特定損傷特約」は、不慮の事故により、骨折、関節脱臼、腱の断裂の治療をしたとき、給付金が出る特約です。

つまり、病気ではなく、ケガが対象なのが特徴です。

加入率は20%台に留まっています。このあたりから、存在を知らない人も多いでしょう。

認知症が対象の「介護特約」

「介護特約」は、寝たきりや認知症によって介護が必要な状態になり、その状態が一定の
期間継続したときに、一時金や年金などが受け取れる特約です。

現在の病気ではなく、高齢になってからの認知症をカバーするのが特徴です。

比較的新しい特約ですが、加入率は14%あります。

重度の慢性病が対象の「疾病障害特約」

「疾病障害特約」は、慢性病によって、心臓ペースメーカー、人工透析、人工肛門などになった場合に一時金が受け取れる特約です。

契約内容によっては、「高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変などの特定の慢性病により所
定の症状と診断された場合」や「視力、聴力、言語、そしゃくなどの所定の機能障害が生じた場合」などもカバーされます。

つまり、慢性病が原因で、障害者や、それに近い状態になった場合を対象としています。

その内容から、「重度慢性疾患保障特約」という名前になっている場合もあります。

自分の将来のリスクを考えて特約を選ぼう

ここまで見てきたように「特約」は、死亡原因となりやすい病気や、大ケガ、認知症、慢性病による障害などをカバーしてくれます。

契約や支払いなどの手続きは、大元の死亡保険と一緒ですから、手間がかかりません。

ただし、あまりに特約を多くしすぎると、毎月の保険料が高くなってしまいます。

特約を選ぶときは、自分の生活状況や、家族の病歴なども考慮し、どれを選択するのか、よく考えてみましょう。

自分の父母や、祖父母、おじ/おばなどの死因や病歴などを見ると、自分のリスクが分かるかもしれません。

迷ったときには、今回の調査で分かった加入率なども参考になるでしょう。

また、「特定損傷特約」は傷害保険でカバーしたり、老後を対象とした「介護特約」はシニアになってから再検討するなど、生命保険以外で備える方法もいろいろあります。

生命保険だけですべてに備えるのではなく、自分の将来にどういうリスクがあって、それに対して、どのように備えるかを考える良い機会です。

[シニアガイド編集部]