葬儀にかかった費用の9割は「200万円未満」。東京は「50万円未満」が多い
106万件のデータで見る「葬儀の費用」
「葬儀」の費用は、それを行なうことになった家族にとって悩みの種です。
多くの場合、急に行なわれる行事なので、打ち合わせする余裕もなく、「いくらかかるのか」という不安を抱えながら進行することが多いでしょう。
ここでは、厚労省が行なっている「特定サービス産業実態調査」という調査をもとに、実際に行なわれた葬儀の相場を紹介します。
この調査は、2017年に最新の調査が行なわれたばかりです。
最新の調査で、葬儀の費用が分かっているのは、5,351社の葬祭業者が行なった「106万2,892件」の葬儀です。
2017年の日本の死亡者数は「約134万人」ですから、この調査は約8割をカバーしています。これだけデータを集めていれば、かなり信頼度は高いでしょう。
全国の葬儀の9割は「200万円未満」
この調査では、葬儀にかかった費用を7段階に分け、件数を調べています。
「全国」のデータを見ると、一番多いのが「100~200万円」でした。
これは、会社関係や近隣の住民など、家族以外の人も呼ぶ「一般葬」が多い価格帯です。
次に「50~100万円」と、「50万円未満」が続いています。
「50~100万円」は親しい人が中心の「家族葬」、「50万円未満」は火葬だけの「直葬」が多い価格帯です。
この3つを合わせると、90%を超えています。
つまり、全国で行なわれる葬儀の9割は、「200万円未満」の費用で足りていることになります。
東京都の葬儀の3分の1は「50万円未満」
葬儀は、地域による違いが大きい行事です。
そして、それは費用にも表われます。
例えば、「東京都」の場合を見てみましょう。
東京都で行なわれた葬儀の件数は「83,555件」でした。全国の葬儀の約8%にあたります。
費用の分布を見ると、全国とはかなり異なっています。
一番多いのは「50万円未満」でした。
「50万円未満」は35.5%なので、全体の3分の1以上を占めています。
これは都内で「直葬」などの簡易な葬儀が増えている影響でしょう。
また、「200万円以上」の葬儀の割合も、全国よりも高くなっています。
これは、社葬を始めとする大規模な葬儀が多い影響でしょう。
逆に、全国では30%を超えている「100~200万円」と「50~100万円」が、両方とも20%台に下がっています。
つまり、東京都では、直葬などを始めとする「50万円未満」の葬儀と、「200万円以上」の葬儀が増え、その中間が少なくなっているのです。
宗教者への謝礼は含まれていない
今回の「葬祭費」は、葬儀社の売上データをもとにしています。
そのため、お坊さんへのお布施を始めとする、宗教者への謝礼は含まれていません。
実際には、宗教者への謝礼は、葬儀にかかる費用のかなり大きな部分を占めている場合があります。
宗教に基づいた葬儀を行なう場合は、それに必要な費用も準備しておきましょう。