一人暮らしの8割は年金不信で、老後の生活が心配
単身世帯に聞いた老後の不安
老後の生活に対する不安は、誰もが感じているところですが、特に一人暮らしである単身世帯の場合は、なおさらです。
この記事では、金融広報中央委員会の調査結果をもとに、単身世帯の老後の生活と年金についての不安を紹介します。
この調査は、2018年6月に全国の2,500世帯を対象にして、インターネットで行なわれました。
83%が「老後の生活が不安」
老後の生活について聞くと、「非常に心配」と答えた人が一番多く、「多少心配である」と合わせると83%に達します。
「それほど心配していない」という人は17%しかいません。
老後が不安なのは「十分な資産がないから」
老後を心配している理由の上位3つは、次のとおりです。
- 十分な金融資産がないから 72%
- 年金や保険が十分ではないから 55%
- 現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備をしていないから 30%
老後も働くことは想定済み
老後の収入源として想定しているものを聞いています。
一番多いのは「公的年金」でした。
これと「就業による収入」が、老後の生活を支える二本の柱と考えられています。
働くことを前提としている人は、回答者の半分を超えており、老後も働く覚悟が伝わってきます。
年金だけでは生活費も危うい
公的年金に対する考え方を聞くと、「日常生活費程度もまかなうのが難しい」という人が多く、50%を超えています。
「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」が、39%です。
「年金でさほど不自由なく暮らせる」という楽観的な見方の人は5%しかいません。
公的年金が生活の柱となることを期待しているが、あまり信じることができないという思っている人が多いのです。
年金の減額や支給開始年齢の引き上げを危惧
最後に、年金だけでは老後がまかなえないと思う理由を聞いています。
一番多いのは「支給金額の切り下げ」でした。マクロ経済スライドなどによって、支給される年金が減ることを心配しているのです。
そして、「支給開始年齢の引き上げ」が続きます。年金の支給開始年齢は、現在65歳が原則ですが、これが70歳などに引き上げられることを心配しているのでしょう。
また、物価の上昇や、医療費と介護費用の自己負担分の増加も心配されています。
つまり、年金の支給額は変わらなくても、出ていくお金が増えていく心配があるわけです。
積み立てて行くことが不安を和らげる
調査の結果を見ると、老後に対する不安や、年金に対する不信感が強く感じられます。
公的年金だけでは、生活を支えることは難しいと考える人が多く、老後も働き続けることを前提としていることが分かります。
公的年金以外の、企業年金や個人年金(iDeCoなど)の制度を利用して、少しずつ金融資産を積み上げていくことが、老後に対する不安を和らげる道筋でしょう。