介護離職後の復帰がいかに難しいかを数字で見る

[2018/11/20 00:00]

毎年10万人が介護離職している

家族の介護のために、現在の職を退職してしまうことを「介護離職」と言います。

介護離職については、さまざまな対策が行なわれています。

しかし、それでも毎年10万人が「介護離職」を選択しています。

ただ、介護離職からの再就職は大変に難しいとされています。

この記事では、総務省の調査データを使い、介護離職からの再就職の現状を数字で紹介します。

介護離職経験者は25%

総務省の調査は2017年に行なわれ、家族の介護をしている1,938人が回答しています。

そのうち、「介護離職をしたことがある」人は475人で、約25%を占めています。

出典:データを基に編集部が作成

介護離職の半分は就職活動をしていない

介護離職をした人のすべてが、再就職を希望しているわけではありません。

そのうちの「51%」、つまり半分以上が、就職活動を行なっていません。

これは、家族の介護に集中するためでしょう。

就職活動について「行なっていたがあきらめた」や「ずっと行なっている」が多い

出典:データを基に編集部が作成

再就職希望でも、44%しか就職できていない

介護離職後に、再就職を希望して活動した人のうち、再就職できた人は「44%」でした。

再就職を希望していても、半分以上の人は職を見つけることができていません。

出典:データを基に編集部が作成

再就職後は正社員になりにくい

さらに、再就職できた人の雇用形態を見ると、離職前に50%だった「正社員」が「21%」に減っています。

逆に、「パート/アルバイト」は離職前の29%から「54%」へ増えています。

「パート/アルバイト」以外でも、「自営業」や「契約社員」「派遣社員」などが増えており、正社員から雇用形態が変わったことが分かります。

介護離職前に「正社員」だった場合でも、「正社員」として復帰するのは狭き門であることが分かります。

出典:データを基に編集部が作成

辞めてしまう前に相談を

介護離職の経験者に、「介護離職したときに仕事を続けたかったか」と聞いています。

68%の人が「続けたかった」と回答しており、「続けたくなかった」という人は12%しかいません。

つまり、ほとんどの人は、辞めたくて辞めているわけではなく、「家族の介護」を優先するあまり、介護離職に至ってしまうのです。

出典:データを基に編集部が作成

しかし、介護と仕事を両立するために法律で用意されている「介護休業」や「介護休暇」について、知っていた人は4人に1人に留まっています。

介護の相談窓口である「地域包括支援センター」や、介護では必須の「介護保険の内容」についても半分以下の人しか知りませんでした。

出典:データを基に編集部が作成

ここまで見てきたように、介護離職後の再就職は、かなりの難関です。

そこで苦労をする前に、現在の仕事を退職しなくてすむように努力すべきでしょう。

介護離職に踏み切る前に、「地域包括支援センター」と「会社の総務部門」に相談することを強くおすすめします。

[シニアガイド編集部]