介護離職後の復帰がいかに難しいかを数字で見る
毎年10万人が介護離職している
家族の介護のために、現在の職を退職してしまうことを「介護離職」と言います。
介護離職については、さまざまな対策が行なわれています。
しかし、それでも毎年10万人が「介護離職」を選択しています。
ただ、介護離職からの再就職は大変に難しいとされています。
この記事では、総務省の調査データを使い、介護離職からの再就職の現状を数字で紹介します。
介護離職経験者は25%
総務省の調査は2017年に行なわれ、家族の介護をしている1,938人が回答しています。
そのうち、「介護離職をしたことがある」人は475人で、約25%を占めています。
介護離職の半分は就職活動をしていない
介護離職をした人のすべてが、再就職を希望しているわけではありません。
そのうちの「51%」、つまり半分以上が、就職活動を行なっていません。
これは、家族の介護に集中するためでしょう。
就職活動について「行なっていたがあきらめた」や「ずっと行なっている」が多い
再就職希望でも、44%しか就職できていない
介護離職後に、再就職を希望して活動した人のうち、再就職できた人は「44%」でした。
再就職を希望していても、半分以上の人は職を見つけることができていません。
再就職後は正社員になりにくい
さらに、再就職できた人の雇用形態を見ると、離職前に50%だった「正社員」が「21%」に減っています。
逆に、「パート/アルバイト」は離職前の29%から「54%」へ増えています。
「パート/アルバイト」以外でも、「自営業」や「契約社員」「派遣社員」などが増えており、正社員から雇用形態が変わったことが分かります。
介護離職前に「正社員」だった場合でも、「正社員」として復帰するのは狭き門であることが分かります。
辞めてしまう前に相談を
介護離職の経験者に、「介護離職したときに仕事を続けたかったか」と聞いています。
68%の人が「続けたかった」と回答しており、「続けたくなかった」という人は12%しかいません。
つまり、ほとんどの人は、辞めたくて辞めているわけではなく、「家族の介護」を優先するあまり、介護離職に至ってしまうのです。
しかし、介護と仕事を両立するために法律で用意されている「介護休業」や「介護休暇」について、知っていた人は4人に1人に留まっています。
介護の相談窓口である「地域包括支援センター」や、介護では必須の「介護保険の内容」についても半分以下の人しか知りませんでした。
ここまで見てきたように、介護離職後の再就職は、かなりの難関です。
そこで苦労をする前に、現在の仕事を退職しなくてすむように努力すべきでしょう。
介護離職に踏み切る前に、「地域包括支援センター」と「会社の総務部門」に相談することを強くおすすめします。