インターネットのセキュリティは「70代以上」が危ない

[2018/11/24 00:00]

インターネットの安全意識についての調査

内閣府が、「インターネットの安全・安心に関する世論調査」の結果を公開しています。

この調査は、インターネットのセキュリティに関する国民の意識を把握するためのものです。

2018年9月に面接方式で行なわれた調査では、1,666人の有効回答を得ています。

なお、この記事では、数字については四捨五入して表記しています。正確な数字は、元の報告書でご確認ください。

面接方式ゆえに分かった高齢者の実情

この調査は面接方式で行なわれたため、インターネットアンケートでは分からない、「70代以上」の実情がよく分かる結果となっています。

例えば、「インターネットのトラブルに対する不安感」がある人は、「60代」までは70%以上となっていますが、「70代」では49%しかいません。

70代になると、不安がある人が、いきなり20%以上も下がっているのです。

年齢が高くなるほど、未知のものであるインターネットへの不安が高くなるという予想とは反対の結果なのです。

出典:データを基に編集部が作成

70代はセキュリティの用語を知らない

もう少し具体的に「インターネットのトラブルに関する言葉を知っていますか」という質問を見てみましょう。

知っている人が一番多かった用語は「コンピューターウイルス」でした。

「50代」までは80%以上の人が、この言葉を知っています。

しかし、「60代」になると、それが75%まで下がります。

さらに、「70代以上」になると、40%台まで大きく下がってしまいます。

つまり、70代の回答者の半分以上は、「コンピューターウイルス」という言葉自体を知りません。

知っている人が二番目に多い用語である「ネットいじめ」でも同様で、「70代以上」では半分以上の人が知りません。

出典:データを基に編集部が作成

さらに、「コンピューターウイルス」と「ネットいじめ」に、「偽の電子メールによる個人情報の流出」「わいせつな画像を要求される自画撮り被害」「ネットストーカー」「無線LANの盗聴」「マルウェア」を加えた7つの用語について、「どれも知らない」という回答が、「70代以上」では30%に達しています。

「70代以上」になると、これらのセキュリティに関した用語を知らない人が、いかに多いかということが分かります。

70代以上は7割がネットを使っていない

「70代以上」の人は、どうして、こんなにインターネットセキュリティの用語に疎(うと)いのでしょうか。

その答えは、「インターネットを安全に利用するための対策」という質問の回答にありました。

「50代」では、「インターネットは利用していない」という人は11%でした。

これが「60代」になると「インターネットを利用していない」人が37%に増えます。

「70代以上」になると、70%の人がインターネットを利用していません。

つまり、70代以上の人の多くはネットを使う習慣がないので、ネットに馴染みがなく、セキュリティに関する用語の意味も知らないのです。

出典:データを基に編集部が作成

「スマホ」はネットにつながると知らない

70代以上の人の多くは、ネットの利用率が低く、ネットのセキュリティに関する用語などの知識にも疎いことが分かりました。

この結果を見ると、「ネットを使っていないのならば、知識が無くても大丈夫だろう」と考えてしまいやすいのですが、それは間違いです。

なぜなら、「スマートフォン(スマホ)」という存在があるからです。

シニア層の多くは、スマホに対して、「新型の電話」というイメージしか持っていません。

スマホがインターネットにつながるコンピューターなのだという意識がないのです。

つまり、自分が持っている「スマホ」と、インターネットセキュリティの問題がつながっていないです。

インターネットセキュリティに対する知識が少ない人が、スマホを手にすることで、いきなりネットの大海に漕ぎ出してしまうのです。

セキュリティに関する知識がありながら「安全に利用するための対策をしていない」というのも危険ですが、「ネットを利用していなくて知識がない」人が、セキュリティ的に丸裸の状態でネットに接触する方が、ずっと危険です。

ある程度以上の年齢の人が、初めてスマホを使うときは、ネットの知識が無いということを前提にして、できる限りの対策を施してから渡してあげましょう。

[シニアガイド編集部]