80代で働いている人は「8%」、9割が自営業
高齢者の働きかたを見る調査
「何歳まで働くか」というのは、老後を考えるときに、必ず考えなければならない問題です。
この記事では、国が行なった「高齢者の健康に関する調査」から、就労状況についての結果を抜き出して紹介します。
この調査は、2017年12月から2018年1月に行なわれ、55歳以上の男女1,998人から有効回答を得ています。
調査は面接方式で行なわれており、インターネットが利用できない高齢者からも、有効な回答を得ています。
収入のある仕事は「65歳」がめど
まず、回答者に対して「現在、収入のある仕事をしているか」と聞いています。
この回答を年齢別に見ると、「55~59歳」では「仕事をしている人」が80%で、「仕事はしていない人」が20%でした。
年齢が高くなるにつれて、「仕事をしている人」は減り続け、「65~69歳」になると「仕事をしていない人」よりも少なくなります。
現在、会社員では「65歳までの雇用」が義務化されているので、それが一つのきっかけとなっているのでしょう。
つまり、「65」が、仕事を続けるかどうかを判断するめどとなっています。
80代になっても働き続けたいなら「自営業」
次に「収入のある仕事をしている人」に、その職種を聞いています。
「55~59歳」では、在宅以外の「社員/職員」が一番多くなっています。全体の67%を占めています。
二番目に多いのが「自営業/個人事業主」で23%です。
三番目に「役員その他」が入り、全体の4%です。
年齢が高くなるにつれて、「社員/職員」は減っていき、「80歳以上」では0%になります。
一方、「自営業/個人事業主」の割合は増えていき、「65~69歳」で「社員/職員」を抜きます。
70代では半分以上を占め、「80歳以上」で働いている人の89%を占めています。
つまり、80代になっても働き続けている人の9割は、自営業なのです。
面白いことに、「役員その他」は、年齢による変動がほとんどなく、「80歳以上」になっても8%を占めています。いったん役員になると、年齢に関わらず働き続けられるのでしょう。
80代になっても、働き続けたいならば、「自営業」または「役員」を目指しましょう。
「働き続けたい」年齢は「70歳」
今度は、現在ではなく、将来において「その年齢になっても働き続けたいかどうか」を聞いています。
「61~65歳」では、98%の人が「働き続けたい」と思っています。
現在は、「65歳」までは現役であると思っている人が多いのです。
しかし、想定の年齢が高くなるにつれて、「働くつもりはない人」が増えていきます。
「働くつもりはない」方が多くなるのは、「71~75歳」です。
「70歳になったら引退する」のが、一つの目安といえるでしょう。
さすがに「81歳以降」になると、82%の人が「働くつもりはない」と回答しています。
働き方の希望は、人によって違う
「その年齢になっても働き続けたいかどうか」という質問に「81歳以降も働き続けたい」と答えた人は、18%しかいません。
しかし、その人達に、「週に何時間働きたいのか」と聞くと、平均で「27.7時間」と答えています。
つまり、週5日働くとすれば、1日5~6時間は働きたいと言うのです。
希望する労働時間から分かるように、この方々は、仕事が好きで「働き続けられる限りは仕事を続けたい」のです。
同じ年代の人の8割以上が「働くつもりはない」と考えていることは、この方々には関係のないことなのです。
「何歳まで働くか」「どんな形で働くか」ということについての希望は、人それぞれで、異なるものであることが分かります。
周囲の状況を見ることも必要ですが、最後は「自分がどのように働きたいのか」ということで、キャリアの終わりを判断しましょう。