起業した人の平均年齢は43歳、1年後に黒字の確率は6割
起業した人の実態調査
日本政策金融公庫 総合研究所が、「新規開業実態調査」の結果を公開しています。
2018年7月に行なわれた調査では、日本政策金融公庫が融資し、開業から1年以内の企業1,746社から回答が寄せられています。
つまり、起業から1年以内の現状報告で、起業した後のリアルな状況が反映されています。
ここでは、起業をした人のプロフィールや現状を中心に紹介します。
傾向をわかりやすくするために、結果の数字は四捨五入して丸めてあります。
平均年齢は「43歳」
起業した人の開業時の平均年齢は「43.3歳」です。
年代別に見ても、「40代」が多く、初めて「30代」を抜きました。
起業する人の高齢化が進んでいることが分かります。
など、起業した人の8割は男性で、女性は2割です。
起業前に管理職を経験している人が多い
99%以上の人は、起業前に会社勤めをした経験があります。
起業した分野で働いている人は8割、管理職経験がある人は7割弱です。
まったく初めての分野で起業する人や、人を使った経験がない人は多くありません。
「1人」で始める人が多い
起業したときの人数は、「1人」が一番多く、次に多いのも「2人」です。
開業資金は「500万円未満」が最多
開業資金は、平均で「1,062万円」です。
しかし、件数で見ると「500万円未満」が一番多くなっています。
大きな資金を用意した人が、平均値を引き上げているのです。
1週間50時間労働は当たり前
1週間の労働時間は、「50時間以上」が最多でした。
起業から1年以内ですから、時間がいくらあっても足りないという状況でしょう。
苦労するのは「販路」と「資金繰り」
具体的に「現在、苦労していること」を見てみましょう。
上位4つは、次の通りです。
- 顧客/販路の開拓 47%
- 資金繰り、資金調達 38%
- 従業員の確保 26%
- 財務/税務/法務に関する知識の不足 22%
特に多いのが「顧客/販路の開拓」つまり商品を売るための営業です。
これと「資金繰り」つまり金策が、起業後の二大悩み事です。
あらかじめ、そのつもりで対策を準備しておきましょう。
売上は「500万円未満」が多い
しかし、売上はあまり多くありません。
1カ月の売上は「100~500万円」と「100万円未満」が、ほぼ並んでいます。
この調査では、利益率などは聞いていませんが、さすがに売上が「100万円未満」では経営は苦しいでしょう。「100~500万円」はほしいところです。
採算が取れているのは6割だけ
事業の採算を聞くと、黒字基調は61%で、赤字基調が39%です。
つまり、4割の人は赤字経営となっています。
起業からしばらくは赤字基調になりやすいとはいえ、苦しい状況ではあります。
起業に「満足」は68%
起業したことに満足している人は、「かなり満足」が26%、「やや満足」が42%で、合わせて68%に留まっています。
「かなり不満」は3%、「やや不満」は8%で、積極的に現状が不満であるとしている人も11%います。
第三者が納得する計画があっても、成功は「6割」
今回の調査の対象は、日本政策金融公庫から融資を受けた事業主が対象です。
ということは、第三者である日本政策金融公庫を納得させ、お金を出す判断をさせた方々です。
つまり、思いつきではなく、かなり準備を整えた上で起業をした人たちなのです。
それでも、「満足している」人と「採算が黒字になっている」人の両方とも6割ちょっとなのですから、「起業」の難しさが分かります。
少なくとも起業から1年は、赤字基調であっても事業を継続できるように準備しておきましょう。