都内の中小企業の退職金は「1千万円」が目安
都内の中小企業千社の退職金事情
東京都産業労働局が、都内の中小企業の退職金制度についての報告書を公開しています。
この調査は、東京都内にある従業員数が10人から299人の中小企業を対象にしたものです。
中小企業、しかも都内だけを対象にしているので、大手企業対象の調査とは、少し異なった結果が出ています。
2018年7月に行なわれた調査には、1,060社が回答しています。
4社に1社は退職金がない
まず、退職金制度の有無と、その種類を聞いています。
4社に1社は、退職金制度がありません。
退職金制度がある企業を、制度別に見ると一番多いのは「退職一時金のみ」でした。
次に多いのが「退職一時金と退職年金の併用」です。
つまり、退職時に一時金がもらえるうえに、一定の期間、企業年金が受け取れるわけです。
「退職年金のみ」の会社は少数派です。
「退職一時金のみ」なら1千万円が目安
学校を卒業してすぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金を「モデル退職金」として、調査しています。
「退職一時金のみ」の会社では、高卒が1,025万円、高専/短大卒が965万円、大卒が1,038万円でした。
だいたい、1千万円ぐらいが目安です。
年金併用なら1,500万円が目安
「退職一時金と退職年金の併用」の会社では、金額が大きくなっています。
高卒が1,502万円、高専/短大卒が1,595万円、大卒が1,690万円でした。
だいたい、1,500万円が目安と思えば良いでしょう。
これは、退職時にもらえる一時金と、企業年金を合わせた金額ですので、ご注意ください。
給与から退職金を試算する
もし、あなたが都内の中小企業に勤めていて、自分の退職金の目安を知りたいとします。
しかし、4社に1社の割合で退職金制度が無いことから分かるように、中小企業の退職金は企業ごとに差があります。
それぞれの会社によって、退職金を計算する方法も異なっていますし、計算方法を公開していない場合もあります。
ですから、あなたが自分の退職金を計算するのは、簡単ではありません。
ただし、今回の調査で、ざっくりとした計算方法があることが分かりました。
モデルとなる退職金の金額を、「所定時間内賃金」で割ると、高卒が29.0カ月、高専/短大卒が27.9カ月、大卒が28.0カ月だったのです。
つまり、自分の「所定時間内賃金」に「28」を掛けると、おおよその退職金の金額になるわけです。
まず、自分の「所定時間内賃金」を調べます。
「所定時間内賃金」は、就業規則等で定められている所定労働時間に対する賃金です。
給与辞令や給与明細などで、「基本給」と書かれているのが、それです。
残業代や各種の手当は含みませんから、注意してください。
例えば、あなたの基本給が30万円ならば、30×28で、840万円があなたの退職金というわけです。
本当にざっくりとした金額ですが、定年後の生活設計のための目安にしてください。