本来は資格が無かった? 問い合わせをしただけで7万人減った社保の「扶養者」
協会けんぽが被扶養者の再確認を実行
サラリーマンの健康保険である「協会けんぽ」が、「被扶養者資格の再確認」の結果を公開しています。
協会けんぽや組合健保の場合、加入者の親族を「被扶養者」として登録することができます。
ありがたいことに、「被扶養者」が増えても、支払う健康保険料は変わりません。
そのため、退職した親や、身寄りのない親戚などを「被扶養者」として登録することが慣習となっていました。
しかし、健康保険の財政が厳しくなる中で、その人が本当に「被扶養者」の資格を持った人なのか、という再確認が始まっているのです。
たった2カ月の調査で7万1千人も減った
公開された結果は、目覚ましいものでした。
2018年6月から8月にかけて行なわれた再確認で、「7万1千人」が被扶養者から削除されたのです。
協会けんぽでは、「被扶養者から除かれた理由は『就職したが削除する届出を年金事務所へ提出していなかった』というものが大半でしたが、収入超過による削除についても見受けられました」としています。
これまで、被扶養者を登録する際に、書類による収入の確認は必要ありませんでした。
今回も、書類の添付などは求めていませんが、年収が基準を超える人達が、被扶養者とすることを自粛したと思われます。
被扶養者の再確認で「17億円」が浮いた
被扶養者が減ると、どんな効果があるのでしょう。
まず、本来は協会けんぽが負担しなくてもよかった、被扶養者の分の医療費などの負担がなくなります。
具体的な金額はありませんが、7万1千人分の医療費ですから、それなりの金額が減ったことが推定できます。
しかし、それだけではありません。
被扶養者が減ると、協会けんぽに対する「後期高齢者医療制度」の負担が軽くなるのです。
なんと、被扶養者が7万1千人減ったことで、後期高齢者医療制度への負担金が「17億円」も減ったのです。
実は、後期高齢者医療制度の財源の4割は、協会けんぽなどの健康保険組織が負担しています。
そして、負担する金額は、おおざっぱに言えば、加入者とその家族の人数で決まります。
つまり、被扶養者が減ると、協会けんぽが負担する金額が減るのです。
こんなに負担金が減ることがわかったのですから、今後も被扶養者の削減に力が入るでしょう。
これからも厳しくなる被扶養者の登録
今回の被扶養者の再確認と同時に、被扶養者も含めたマイナンバーの確認も行なわれました。
最終的にはマイナンバーをもとにして、被扶養者の資格があるかどうか、収入を把握されるでしょう。
また、過去に被扶養者として登録されていても、改めて収入を証明する書類を求められることも予想されます。
これまでのように、「頼まれたら扶養にする」ことを続けるのは難しい状況になりました。
場合によっては、被扶養者を外れた人を国民健康保険に加入させるなどの手続きなどが必要になるかもしれません。
配偶者や子供以外で、扶養にしている親族がいたら、状況の変化を情報として共有しておきましょう。
また、下の「扶養者の範囲」の図で、扶養にできる親族なのか、改めて確認しておきましょう。