「解散」を選択した会社の代表者は「70代」が多い
解散した会社の統計調査
大きな企業が倒産するとニュースになります。
その一方で、小さな企業や個人事業は、ひっそりと「休廃業」や「解散」して姿を消します。
企業情報調査会社の帝国データバンクが公開した「休廃業・解散動向調査」の結果をもとに、小さな会社の消え方を見てみましょう。
なお、ここからは休廃業や解散した、企業と個人事業をまとめて「解散した会社」と呼びます。
解散した会社は、倒産した会社の3倍
2018年に解散した会社は、23,026件でした。
解散した会社の数は、ここ10年ほどは年間2万件台で、少しずつ減少しています。
2018年も前年より5.6%減りました。
同じ年に倒産した会社は8,063件でしたから、その3倍の会社が解散で消えています。
倒産などに至る前に、自分の手で解散を選ぶ会社が多いのです。
解散した会社の代表者は「70代」が多い
解散した会社の代表者の年齢を見ると、「70代」が多く、全体の3割を超えています。
5年前と10年前の調査では「60代」が最多だったので、代表者が解散を考える年齢が「70代」まで上がったことが分かります。
建設業、サービス業、小売業が多い
解散した会社の業種を見てみましょう。
一番多い業種は「建設業」でした。全体の3割を超えています。
例えば「土木建築業」「大工工事」などが多くなっています。
二番目に多いのが「サービス業」でした。
「非営利団体(NPO)」「診療所」「自動車整備」などが目立ちます。
三番目に多い「小売業」では、電気器具販売、婦人服/用品、米穀商など、小さな小売店舗らしい業種が目に付きます。
また、「バー、ナイトクラブ」「喫茶店」などの飲食関係も解散率が高くなっています。
この状況を、帝国データバンクでは、つぎのように分析しています。
地場で対消費者向けビジネスを展開する企業などでは、地域人口の減少のほか、消費者の好みや時代の変化、法改正や緩和、産業構造の変化に対応困難となり、事業継続を断念したケースが多い。郊外の大型量販店やチェーン店、ショッピングモールといった大型商業施設の進出による経営環境の変化が、小売店の「休廃業・解散率」を押し上げる要因の一つとなっている。
人口が少ない県では解散率が高い
解散した会社の件数は、東京都や大阪府などの大都市圏で多くなっています。
しかし、解散した会社の数を、都道府県の企業数で割って、「休廃業・解散率」を出すと順位は大きく変わります。
10位までの順位を見てみましょう
- 佐賀県 2.15%
- 新潟県 2.08%
- 島根県 2.05%
- 宮崎県 2.04%
- 鳥取県 1.99%
- 栃木県 1.97%
- 大分県 1.91%
- 群馬県 1.91%
- 山口県 1.91%
- 山形県 1.88%
県名を見ると、人口が少ないか、人口減少率が高い県が並んでいます。
特に上位の県では、解散率が2%を超えています。つまり、この1年間で、その県の会社の50社に1社が解散しているわけです。
代表者の年齢や業種とともに、地域経済の環境が、会社の解散に大きく影響を与えていることが分かります。