泉佐野市、総務省のふるさと納税方針に反論。Amazonギフト券が返礼品の挑戦的なキャンペーン

[2019/2/6 00:00]

泉佐野市が直営サイトでキャンペーン

泉佐野市(大阪府)は、ふるさと納税特設サイト「さのちょく」において、ふるさと納税を申し込んだ人全員にAmazonギフト券をプレゼントする「『100億円還元』閉店キャンペーン!」を開始しました。

キャンペーン期間は、2019年2月1日から3月31日としています。

Amazonギフト券は、ふるさと納税額の10%分、5月以降の配送月を指定すると20%分がもらえます。

キャンペーン期間は3月31日ですが、還元額予算である100億円に達し次第、Amazonギフト券のプレゼントは終了となります。

出典:泉佐野市

挑戦的な内容の返礼品

泉佐野市のふるさと納税は、高い返礼率とギフト券などの返礼品で人気を集め、2017年度には135億円を集めました。

その後も、総務省の通知を無視し、「返礼割合が実質3割超の返礼品を送付している団体」と「地場産品以外の返礼品を送付している団体」の両方のリストに名前を連ねています。

総務省が、ふるさと納税に関わる法律を改正し、ガイドラインに沿わない自治体については、ふるさと納税と認めないという方針を打ち出すことになった理由の一つが泉佐野市であることは間違いありません。。

今回のキャンペーンでは、さらに静岡県小山町(おやまちょう)が総務省の怒りをかう原因となった「Amazonギフト券」をプレゼントするなど、挑戦的な内容となっています。

キャンペーンの開始にあたって、泉佐野市の千代松市長は「市長からのご挨拶」を公開しました。

泉佐野市の立場を知るにあたって重要な内容ですので、あえて全文を掲載いたします。

「市長からのご挨拶」全文


 この特設サイトをご訪問いただきました皆さま、また、これまで泉佐野市のふるさと納税にご寄附をいただきました皆さまに、泉佐野市を代表して、まずは厚く御礼申し上げます

 わたしたち泉佐野市は、大阪府南部に位置して和歌山県とも接し、大阪市と和歌山市のほぼ中間に位置しています。温暖な気候と豊かな自然に恵まれた環境ですが、最近は特に、関西国際空港(関空)に対する社会的な注目度がアップするのに比例して、本市がクローズアップされるシーンも多くなってまいりました。

 本市が注目を集めるようになったもう一つの理由が、「ふるさと納税」です。

 泉佐野市は2012年から、ふるさと納税に積極的に取り組んでまいりました。

 そもそも本市は、かつて財政破綻寸前の状態にまで陥っていました。その後、財政健全化に向けて、人件費の抑制、遊休財産の処分、公共施設の統廃合など、もうこれ以上何もないというほど徹底した緊縮財政を行ってまいりました。

 わたしは、後ろ向きの施策だけでは泉佐野市は疲弊してしまうと考え、歳入を増やすための攻めの改革の一つとして、ふるさと納税に力点を置くことにしました。以降、特に返礼品に知恵を絞り、関空を拠点とする日本初のLCC(ローコストキャリア) Peachの航空券購入に利用できるポイントを返礼品にするなど、皆さまのニーズにお応えできるラインナップに傾注してまいりました。

 そうした取り組みを続けてきたこともあり、2017年度には寄附金の受入額が全国1位となって、泉佐野市の存在が大きくフォーカスされるようになりました。

 しかし、ご存知の方も多いと思いますが、総務省から返礼品の規制を柱とする通達が相次ぎ、いよいよふるさと納税の法制化がなされようとしています。

 本市としては、総務省の一方的な見解に基づく法制化は、地方自治の精神にもそぐわず、また自治体間の格差を生みかねないものとして、拙速を避け、広く議論を行うべきではないかと主張してまいりました。ですが、現状では、法制化は現実のものとなりそうな気配です。

 法制化がなされた場合、これまで本市のふるさと納税事業に関わってくださった約140社の地元民間事業者、そして事業を支えてくれたスタッフの業務や雇用に多大な影響を及ぼすことが想定されます。本市としてはこれらの方々の処遇も考慮しなければなりません。

 こうした事態を受け、泉佐野市は、これまで本市に多くの寄附をお寄せいただいた皆さま、そしてこの特設サイトを訪問していただいた皆さまへの感謝の意味を込め、100億円還元閉店キャンペーンを実施いたします。

 短い期間ではございますが、泉佐野市にご寄附をいただける皆さまに、わたしたちの感謝の気持ちをお送りしたいと思います。

平成31年2月1日

泉佐野市長 千代松 大耕

[シニアガイド編集部]