「新しい葬儀スタイル」として受け入れられているのは「樹木葬」だけ!?
喪主経験者へのアンケート
冠婚葬祭互助会の「くらしの友」が「新しい葬儀スタイルに関する意識調査」の結果を公開しています。
2018年11月にインターネットで行なわれたアンケートには、5年以内に葬儀の喪主を経験した、首都圏在住の40歳~70歳の男女400人が回答しています。
新しい葬儀スタイルを導入するか否か
このアンケートでは、「新しい葬儀スタイル」について、次のものを挙げています。
- 樹木葬
- 散骨
- SNS等を活用した訃報/葬儀案内連絡サポートサービス
- 映像照射式の祭壇
- 葬儀のインターネットライブ動画配信サービス
- 葬儀のドライブスルーサービス
それぞれの詳細については、記事末の解説を参照してください。
アンケートでは、「身内以外も参列する葬儀の喪主を務めることになった場合、これらのサービスを取り入れることに対して抵抗はありますか」と聞いています。
なお、葬儀の対象となっている故人の意向はなかったものとしています。
受け入れる人が多い「樹木葬」
結果を見てみましょう。
「新しい葬儀スタイル」で、「抵抗がある」が半数を切ったのは「樹木葬」だけでした。
つまり、他のサービスは、喪主として取り入れることに抵抗を感じている人が過半数でした。
新しいサービスを葬儀に取り入れることに対する抵抗感の強さが分かります。
「樹木葬」に対する賛否
今回のアンケートで、唯一「樹木葬」だけが、比較的多くの人に受け入れられていることが分かりました。
その理由を見てみましょう。
「取り入れてみたい理由」で多いのは、次の2つです。
- 故人の魂が新しい命(樹木)に宿るような気がしそうで良いと思うから
- 穏やかな自然に還る形は故人にも感謝されそうだと思うから
「抵抗がある理由」で多いのは、次の2つです。
- 親族が集い、手を合わせ、絆を確認する場としては、私的な区画に埋葬し墓石を用意する形が望ましいから
- 個人を偲び、節目ごとに手入れに努め、供養する対象として、私的な区画にある墓石が望ましいから
賛成している人は、樹木に故人の魂を託す感覚を持っているようです。
一方、反対している人は、プライベートな祈りの空間が確保できないことを懸念していることが分かります。
自分の葬儀を指定したいときは、生前から表明しよう
今回のアンケートでは、最近登場している「新しい葬儀スタイル」に対して、抵抗感を感じる人が多いことが分かりました。
葬儀のような、保守的になりやすい儀礼では、新しいサービスが浸透することが難しいのでしょう。
ただし、火葬だけの直葬が増えるなど、葬儀の形態が多様化しているのは、まぎれもない事実です。
自分が「故人」や「喪主」の立場だったら、何をしてほしいのか、してほしくないのか、考える機会を作りましょう。
そして、導入したいサービスがあれば、周囲の人に周知したり、エンディングノートに書くなどして、自分の意志を表明しておきましょう。
解説:「新しい葬儀スタイル」
このアンケートで「新しい葬儀スタイル」として挙げられているサービス等の解説です。
樹木葬
私的な墓石を建てるのではなく、墓地(霊園)に遺骨を埋葬し、遺骨の周辺にある樹木を墓標として故人を弔う方法
散骨
墓を作らず、火葬後の焼骨を粉末状にし、海や山中、空、宇宙にて散布して故人を弔う方法
SNS等を活用した訃報/葬儀案内連絡サポートサービス
葬儀社が作成する訃報及び葬儀情報(日時/地図など)が載ったホームページのアドレスを、自身のスマートフォンのSNS(LINE等)やアプリ等で参列候補者に配信できる
映像照射式の祭壇
生花や木製の祭壇の代わりに、舞台上のスクリーンや特殊カーテンに、遺影やイメージ映像等を照射できる疑似祭壇
葬儀のインターネットライブ動画配信サービス
諸事情で葬儀に参列できない人が、PCやスマートフォン等でリアルタイムで葬儀の様子を閲覧できる動画配信サービス
葬儀のドライブスルーサービス
葬儀の式場内には立ち寄らず、施設脇の窓口に車を着け、車中からの香典渡しや焼香ができる
ロボット導師による読経サービス
葬儀の際に、導師(僧侶/神官等)の代わりに、袈裟等を着たロボット(Pepperなど)がお経等を読む