東京23区で、孤立死になる確率が高いのは「葛飾区」、低いのは「文京区」

[2019/2/23 00:00]

23区内の孤立死の状況

東京の中心である特別区は、23もあり、それぞれに特徴がある自治体です。

人口も6万人を切る「千代田区」から、80万人を超える「世田谷区」まで、10倍以上の違いがあります。

区の面積や、区民の平均収入、交通事情などでも大きな差があります。

では、一人暮らしの人が不慮の死を遂げる「孤立死」にも差があるのでしょうか。

そもそも、人口が少なく、平均収入が高い「千代田区」などで「孤立死」をしている人はいるのでしょうか。

東京都の資料をもとにして、確認してみました。

孤立死が無い区は存在しない

23区の孤立死に関して基本となる資料は、東京都監察医務院が公開している「自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計」です。

最新版は2016年の統計です。

この資料では、23区の各区ごとに、一人暮らしの「単身世帯」で、自宅で異常な状態で死亡し、東京都監察医務院で死因などが調査された人の人数が確認できます。

今回は、これを「孤立死」として扱います。

23区内の一人暮らしの人で孤立死したのは「3,577人」でした。

男性が「2,502人」、女性が「1,075人」です。

男性の方が2倍以上も多いのです。

この統計に限りませんが、「孤立死」になる危険性は、男性の方がずっと高いのです。

出典:データを基に編集部が作成

そして、23区のすべての区で、孤立死が発生しています。例外はありません。

一番多いのは「足立区」で404人でした。

以下、「大田区」「江戸川区」「世田谷区」「板橋区」が続きます。

逆に少ないのは「千代田区」で20人でした。

以下、「中央区」「文京区」「港区」「目黒区」が続きます。

記事の末尾に23区すべての数字を掲載しています。

しかし、この比較はフェアではありません。

さきほど紹介したように、23区の人口には大きな差がありますし、単身世帯の数も異なります。

「単身世帯数」で割ってみる

そこで、国勢調査で分かっている一人暮らしをしている「単身世帯」の数を使います。

つまり、孤立死の数を、単身世帯の数で割って、孤立死の率を計算するのです。

少数で表示すると桁数が多くなるので、「単身世帯10万世帯当りの孤立死数」で表わします。

最初に、23区全体の、「単身世帯10万世帯当りの孤立死数」を計算してみると「205人」でした。

単身世帯が千世帯あったら、そのうち2世帯で孤立死が出る割合です。

23区の中で、孤立死率が一番高いのは「葛飾区」でした。

単身世帯10万世帯当りの孤立死数は「360人」です。

以下、「足立区」「江戸川区」「荒川区」「台東区」が続きます。

逆に、孤立死率が一番低いのは「文京区」でした。

単身世帯10万世帯当りの孤立死数は「98人」です。

孤立死率が高い葛飾区と比べると、3分の1以下に留まっています。

それだけ、孤立死をしにくい環境なのでしょう。

文京区に次いで、孤立死率が低い区は「千代田区」「中央区」「渋谷区」「杉並区」と続きます。

やはり、単純に孤立死数だけで比べた時とは、順位が変わっていることが分かります。

周囲とのコミュニケーションで孤立死に備えよう

同じ23区内、しかも同じ単身世帯であっても、孤立死をする確率には、3倍以上も差があることが分かりました。

孤立死の割合が異なるのは、その区民の年齢構成や住居の状況、福祉の状況など、複数の要素が原因です。

ただし、次のことだけは確実に言えます。

「東京23区に、孤立死が無い区は存在しない」
「単身世帯が千世帯あると、そのうち2つは孤立死になる可能性が高い」

また、「男性の孤立死は女性の2倍近く多い」ことも忘れてはいけません。

もしあなたが、一人暮らしになったら、できるだけ周囲の人や、役所、病院などと連絡を絶やさないようにして、孤立死を避けるよう心がけてください。

資料:東京23区の孤立死者数

区名の後の数字、最初の数字が「2016年の孤立死者数」、次の数字が「単身世帯10万世帯当りの孤立死数」です。

並び順は「区コード」順です。

  • 千代田区 20人 103人
  • 中央区 53人 122人
  • 港区 93人 139人
  • 新宿区 187人 141人
  • 文京区 68人 98人
  • 台東区 175人 284人
  • 墨田区 141人 224人
  • 江東区 257人 241人
  • 品川区 206人 177人
  • 目黒区 104人 140人
  • 大田区 367人 194人
  • 世田谷区 341人 147人
  • 渋谷区 115人 135人
  • 中野区 204人 168人
  • 杉並区 243人 138人
  • 豊島区 180人 161人
  • 北区 220人 244人
  • 荒川区 131人 288人
  • 板橋区 341人 228人
  • 練馬区 279人 200人
  • 足立区 404人 315人
  • 葛飾区 285人 360人
  • 江戸川区 363人 289人
[シニアガイド編集部]