「起業」を考えたときに知っておきたい。小さい会社の潰れ方

[2019/2/26 00:00]

起業があれば、その終わりもある

定年など、さまざまな理由で、現在、所属している会社を辞めるときに、自分で会社を始める「起業」も一つの選択肢です。

ただ、「起業」を始めた人を見ていると、「事業が成功する」と思い込んでいて、失敗したときのことを何も考えていない場合が少なくありません。

逆に言えば、それだけ自分のビジネスに自信があって、楽天的な性格でないと、「起業」はできないのかもしれません。

しかし、自分で始めた会社が、潰れる可能性があることは、知っておいた方が良いと思います。

ここでは、調査会社の東京商工リサーチが公開した「負債1,000万円未満の倒産」のデータを使って、小さい会社がどういう潰れ方をするのかというイメージを探ってみましょう。

小さい会社の倒産は増え続けている

2018年に「負債1,000万円未満」で倒産した企業は、521件でした。

最近の動向を見ると、2015年を底にして、増え始めています。

東京商工リサーチでは「小・零細企業を取り巻く経営環境は中堅以上の企業に比べ、いち早く厳しさを増している」と分析しています。

ここからは、実際に倒産した企業のプロフィールを見ていきましょう。

出典:東京商工リサーチ

500万円未満の負債で倒産してしまう

倒産した企業の負債額で一番多いのは「500万円未満」でした。

小さい企業の場合、1千万円どころか「500万円」未満のお金が無くて、倒産してしまうこともあるのです。

出典:東京商工リサーチ

資本金500万円未満の会社が多い

倒産した会社の資本金を見ると「100万円以上500万円未満」が一番多く、「個人企業」もおなじぐらいあります。

個人企業と、資本金が500万円未満の企業を合わせると、80%を超えます。

やはり、1,000万円未満の借金で潰れるのは、小さな会社なのです。

出典:東京商工リサーチ

「サービス業」が多い

倒産した企業を産業別に見ると、「サービス業」が一番多く、40%を超えています。

「サービス業」には、飲食業など、創業資金をあまり必要としない業種が多いので始めやすいことが一因でしょう。

出典:東京商工リサーチ

倒産の原因は「販売不振」

では、小さい企業は何が原因で倒産するのでしょう。

倒産の原因の70%近く「販売不振」です。

価格、商品力、サービスなどで優位に立つことが難しく、営業力が足りないという小さい会社の欠点が、もろに表れています。

まず、商品を売る力が求められているのです。

出典:東京商工リサーチ

ほとんどの場合「破産」によって清算される

では、倒産した場合、どのような結末を迎えるのでしょう。

小さい会社が倒産した場合の手続きは、「破産」が80%を超えています。

「民事再生法」によって再建される法人はほとんどなく、事業の立て直しが難しいことが分かります。

つまり、ほとんどの場合、会社は清算されて跡形も無くなってしまいます。

もちろん、破産した会社の経営者は、信用や金銭などのダメージを避けることはできません。

出典:東京商工リサーチ

失敗した場合を想像できれば、対策が用意できる

「起業」を考えるときは、倒産という事態もありうるということを考慮に入れましょう。

自分が失敗する可能性があると認めることができれば、それに対する対策を探すこともできるはずです。

[シニアガイド編集部]