障害年金の平均月額は7万7千円。厚生年金の1級なら15万円以上
生活の支えとなる「障害年金」
「障害年金」は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになったときに受け取ることができる年金です。
主に65歳以上が対象となる老齢年金と異なり、障害年金は20歳以上であれば年齢に関わらず受け取ることができます。
つまり、現役の世代が、なんらかの原因で障害を負ってしまったときに、頼りになる存在なのです。
しかし、障害年金については、「月額でいくらもらえる」という基本的なことも、あまり知られていません。
この記事では、障害年金の基礎的なデータを紹介しましょう。
年齢を問わず利用できる「障害年金」
最初に、障害年金を受け取っている受給者の年齢分布を見てみましょう。
グラフにも表れていますが、「~24歳」から「75歳~」まで、幅広い年齢の人が障害年金を受け取っています。
若い20代の受給者も、全体の10%近くを占めています。
障害年金が、特定の年齢層のためのものではなく、幅広い年齢を支える存在であることが分かります。
受給者の8割は「国民年金」
障害年金の受給者は「194万3千人」です。
受給者は、受け取っている障害年金の「種類」と「等級」で分かれています。
まず、「種類」から見てみましょう。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに、入っていたのが厚生年金なら「障害厚生年金」、国民年金なら「障害基礎年金」を受け取ります。
受給者のうち、障害厚生年金は19.8%、障害基礎年金は80.2%です。つまり受給者の8割は国民年金の加入者です。
障害による「等級」は3段階
次に障害年金の「等級」を見てみましょう。
障害年金の等級は、障害の重さに応じて1級から3級の3段階に分かれています。
ただし、3級があるのは障害厚生年金のみで、障害基礎年金にはありません。
障害厚生年金の方が、カバーしている障害の範囲が広いのです。
年金制度と等級ごとに受給者の数を見ると、「国民年金2級」が一番多く、「国民年金1級」がそれに次いでいます。
同じ「1級」でも、支給額が2倍近く違う
支給される障害年金の平均月額は「77,829円」です。
しかし、それぞれの等級によって、月額は大きく異なります。
年金制度別に見ると、「厚生年金」の方が月額が高く、1級であれば月額15万円を超えます。
同じ1級であっても「国民年金」では8万円台ですから、かなり差があります。
障害年金については、原因となった病気の初診日や障害が確定した日に、どちらの年金制度に属していたかで大きな差があることが分かります。
厚生年金には、支給額の男女差が大きいという特徴があります。
これは支給される障害年金の金額が、現役時代の収入と加入期間をもとにして計算されるためです。
例えば同じ「厚生年金1級」であっても、男性の月額は16万円台、女性の月額は12万円台ですから、月に4万円近い差があるのです。
国民年金による障害基礎年金は、等級ごとに定額ですから、男女差はほとんどありません。
障害年金は「精神障害」もカバーしている
最後に、障害年金を受け取る原因になった病気の種類を見てみましょう。
一番多いのは「精神障害」でした。
主に、統合失調症や気分(感情)障害、発達障害などです。
次に多いのは「知的障害」です。
この2つだけで、受給者の半分以上を占めています。
障害年金というと、視聴覚器や四肢の障害、脳や内臓の障害による後遺症などを考えがちですが、精神障害も対象となっていることは覚えておくと良いでしょう。