健保組合の保険料率が12年連続で上昇。2022年には運営の危機

[2019/4/24 00:00]

健保の料率が12年連続で上がっている

健康保険組合連合会(健保連)が、健康保険料と介護保険料の高騰を警告しています。

健保連は、大手企業を中心に設立されている健保組合(組合健保)を取りまとめている団体です。

サラリーマンの健康保険料は、収入に対して、健保組合が決めた「保険料率」を掛けて計算します。

つまり、「保険料率」が上がると、給料から天引きされる保険料が高くなり、手取りが少なくなります。

健保組合の平均保険料率は2019年度の「9.218%」に達しました。

これは、同じ会社員の健康保険である「協会けんぽ」の平均保険料率である「10%」に近づいています。

組合健保は、協会けんぽよりも保険料率が低く、社員の負担が軽いことがメリットですが、それを維持するのが難しくなっているのです。

出典:健保連

平均保険料率が10%を大きく越えると、健保組合を維持しているよりも、解散して協会けんぽへ移行しようという企業が増えてきます。

実際に、2018年度に解散した5つの健保組合の平均保険料率は「10.260%」と、10%を超えていました。

健保連では、2022年には、保険料率が10%を超える健保組合が、現在の2倍以上になると予想しており、解散に追い込まれる組合が増える可能性が高いと警告しています。

また、解散に至らないまでも、平均保険料率は「9.8%」まで上がる見込みで、加入している会社員の月々の負担が、さらに重くなると予想されています。

介護保険も上昇が続く

40歳を超えた国民には、健康保険料とともに、介護保険料も掛かります。

介護保険の保険料も、給料に「介護保険料率」を掛けて計算します。

この「介護保険料率」も上り続けているのです。

2019年度の平均介護保険料率は「1.573%」で、過去最高でした。

健保連では、2022年には「2.0%」まで上がる可能性が高いと警告しています。

出典:健保連

2022年は健保制度の危機

健保連では、どうして2022年の危機を警告しているのでしょう。

それは、2022年に日本の高齢者の構造が大きく変わるためです。

2022年には、「団塊の世代」と呼ばれる人口の多い世代が、75歳を超えて後期高齢者になります。

その後も、75歳以上の「後期高齢者」は増え続け、65歳から74歳までの「前期高齢者」が減り続けます。

出典:健保連

健康保険組合は、現役世代を対象にした制度ですが、実は、予算の4割近くを高齢者のために拠出しています。とくに後期高齢者医療制度には、予算の4分の1近くを取られています。

つまり、後期高齢者の人口が増えると、健保組合が拠出する金額が増える仕組みなのです。

出典:健保連

健保連では、高齢者の医療制度に対する現在の負担が続く限り、2022年以降は健保組合の運営が難しくなり、解散を選択せざるを得ない組合が増えると警告しています。

もし、あなたの会社の健康保険が、健保組合ならば、一度、健康保険と介護保険の保険料率を確認しておきましょう。

特に、保険料率が10%に近い場合や、10%を超えている場合は、健保組合の将来性について気をつけておく必要があります。

健保組合(組合健保)には、低い保険料率だけではなく、協会けんぽには無い独自のサービスが用意されたありがたい制度です。

この制度が、できるだけ長く維持されるように、医療費の節約など、できることで協力しましょう。

[シニアガイド編集部]