高齢者はこんなことに困っている。「57項目の代表的な困りごと」
[2019/4/26 00:00]
「何に困っているか」が分かる調査結果
日本能率協会総合研究所が、「高齢者未充足ニーズ調査 2019年」の結果の一部を公開しています。
この調査は、高齢者が加齢にともなって直面する様々な「困りごと」に注目し、その困りごとの背後にある「未充足ニーズ」を探索することを目的としています。
つまり、まだ世の中には無い高齢者の役に立つ商品を開発するために、高齢者が何に困っていて、それに対してお金を払う気持ちがあるかどうかを調べているのです。
この調査は、二つの段階に分けて行なわれました。
- 第一段階:高齢者10名に対するパーソナルインタビュー調査により、高齢者が生活の中で直面する「57項目の代表的な困りごと」を選ぶ
- 第二段階:全国に居住する60歳から90歳までの男女、2,500人による郵送調査で、困りごとに対して、「何か良い商品やサービスを利用することで解消・改善したい」と思っているかどうかを聞く
この調査全体の報告書は、有料なのですが、公開された一部のデータでも面白い調査であることが分かります。
この記事では、第一段階の調査で得られた「57項目の代表的な困りごと」を紹介します。
並んでいる項目を見ることで、自分の高齢化がどれぐらい進んでいるのかという判断ができます。
また、家族に高齢者がいる人は、これらの項目を見ることによって、どうすれば高齢者の生活を補助してあげられるかというヒントを得ることができるでしょう。
57の項目は、6つの分野に分かれています。なお、一部の項目については、表記を読みやすくして、ふりがなや注を追加しています。
ふだんの生活全般に関する困りごと
- 近くの文字が見づらいと感じる
- 遠くの文字が見づらいと感じる
- 文章を読んでいて理解するのに時間がかかる
- 字を書くときに、手が震えたり力が入らない
- 相手の言っていることが、すぐに理解できない
- 滑舌(かつぜつ)が悪くなった(編集部注:滑舌とは発音や発声のことです)
- 飲食時に飲み込みにくい、むせる
- 尿もれの不安を感じる
- 急にトイレに行きたくなり、慌てる
- 夜中に目が覚める
- 何をしようとしたのか忘れる
- 日中、いつの間にか昼寝やうたた寝をする
- 高い場所など踏み台が必要な場所での作業に不安を感じる
- ちょっとしたことで身体のどこかが痛む
調理や食材の準備のときの困りごと
- 食品、飲料のふたを開けるのに苦労する
- 食品パック(豆腐やハムなど)の端を開けるのに苦労する
- 調理の途中で座って休む(立ち続けていられない)
- コンロの火の消し忘れが不安になる
- 調理中にやけどしたり、やけどしそうになる
- 調理の途中で鍋をこがす
- 料理の味付けがうまくいかない
- 電子レンジから料理を出し忘れる
- 買い物に行って、必要なものを買い忘れる
新聞や本を読む、テレビなど視聴するときの困りごと
- 新聞を読むと疲れる
- 本や雑誌を読むと疲れる
- テレビの画面が見づらい
- テレビの音が聞きづらい
- ラジオの音が聞きづらい
普段の生活で感じるおっくうさ(面倒くさく感じる)
- 長い距離を歩くことがおっくうだと感じる
- 外出をすることがおっくうだと感じる
- 食事の準備がおっくうだと感じる
- 掃除がおっくうだと感じる
- 洗濯をする、洗濯物を干すのがおっくうだと感じる
- ふとんを干すのがおっくうだと感じる
- 入浴がおっくうだと感じる
- 買い物がおっくうだと感じる
- ひげそり、化粧がおっくうだと感じる
- おしゃれがおっくうだと感じる
- 玄関先、ベランダ、庭などの掃除や手入れがおっくうだと感じる
- 運動など体を動かすのがおっくうだと感じる
歩く、立つ、座るに関する困りごと
- 靴を脱いだり履いたりするときにふらつく
- まわりの人と同じ速度で歩けない
- 階段を上るときにつまづく、つまづきそうになる
- 階段を下りるときに足をすべらせる、すべらせそうになる
- (気づかないような)小さな段差でもつまづくことがある
- 薄暗くなると段差が見えず怖い
- (何気ない)段差のない平らな場所で転びそうになる
- 何かにつかまらないと立ち座りが大変
身体、体力、認知機能の変化や老いに関する困りごと
- 髪の量が減ったり、白髪が増えたと感じる
- 肌のシミ、しわが増えたと感じる
- 太り過ぎ、痩せすぎなど体型の変化を感じる
- 背中が丸くなるなど、姿勢の変化を感じる
- 体力、筋力の低下を感じる
- 判断の能力など、認知機能の低下を感じる