住宅全体の1割以上が「空き家」。県によっては2割を超える

[2019/5/2 00:00]

身近になった「空き家」の存在

遺産相続のときに、問題になりやすいのが親が住んでいた実家の処分です。

例えば、「相続はしたけれど、処分もできず、誰も住んでいない空き家になっている」という話は、よく見聞きします。

気がついたら、近所の家が空き家になっていたという人も多いでしょう。

実際のところ、どれぐらいの住宅が空き家になっているのでしょうか。

また、都道府県によって、空き家の多い少ないはあるのでしょうか。

総務省統計局がまとめた「住宅・土地統計調査」の結果から紹介します。

1割以上の家が「空き家」になっている

「住宅・土地統計調査」の最新の結果は2018年に行なわれました。

調査の時点で、全国には「6,242万戸」の住宅がありました。

そのうちの「846万戸」が、空き家でした。

空き家の割合を示す「空き家率」を計算すると、「13.6%」です。

全国にある住宅の1割以上は空き家なのです。

出典:データを基に編集部が作成

「空き家」も「空き家率」も増え続けている

少しさかのぼって調べてみると、全国の住宅は増え続けています。

出典:データを基に編集部が作成

そして、「空き家の件数」も「空き家率」も増え続けていました。

つまり、空き家があっても、なかなか活用されず、新築の家が増え続けていることが分かります。

出典:データを基に編集部が作成

空き家が多いのは「大都市」

次に、都道府県別に「空き家の件数」を見てみましょう。

空き家の戸数で見ると、「東京都」や「大阪府」などの大都市と、その周辺に多いことが分かります。

空き家の多い都道府県(戸)

  • 東京都 809,200戸
  • 大阪府 709,300戸
  • 神奈川県 483,000戸
  • 愛知県 390,600戸
  • 千葉県 381,100戸
  • 北海道 377,900戸
  • 兵庫県 359,800戸
  • 埼玉県 346,200戸
  • 福岡県 327,300戸

人口が少ない県は空き家も少ない

一方、人口が少なく、住宅の戸数が少ない県は、空き家の戸数も少なくなっています。

空き家が一番少ない「鳥取県」は、一番多い「東京都」の20分の1しかありません。

空き家の少ない都道府県

  • 鳥取県 39,400戸
  • 福井県 44,800戸
  • 島根県 47,700戸
  • 佐賀県 50,300戸
  • 山形県 53,900戸
  • 秋田県 59,900戸
  • 富山県 60,000戸
  • 沖縄県 66,800戸
  • 徳島県 73,800戸
  • 高知県 74,200戸

大都市は「空き家率」が低い

しかし、「空き家率」でみると、だいぶ様子が変わってきます。

大都市圏は、空き家率が10%~12%程度です。

全国の空き家率が「13.6%」ですから、それよりも低くなっています。

また、人口が増えている「沖縄県」なども空き家率が低くなります。

空き家率の低い都道府県

  • 埼玉県 10.2%
  • 沖縄県 10.2%
  • 東京都 10.6%
  • 神奈川県 10.7%
  • 愛知県 11.2%
  • 宮城県 11.9%
  • 山形県 12.0%
  • 千葉県 12.6%
  • 福岡県 12.7%
  • 京都府 12.8%

空き家率が2割を超える「山梨」と「和歌山」

一方、空き家率が高いのは「山梨県」と「和歌山県」で、いずれも空き家率が20%を超えています。

空き家率が一番低い「埼玉県」に比べると、空き家率は2倍を超えます。

また、四国の四県も、空き家率が高くなっています。

空き家率の高い都道府県

  • 山梨県 21.3%
  • 和歌山県 20.3%
  • 長野県 19.5%
  • 徳島県 19.4%
  • 高知県 18.9%
  • 鹿児島県 18.9%
  • 愛媛県 18.1%
  • 香川県 18.0%
  • 山口県 17.6%
  • 栃木県 17.4%

最終的は撤去命令もありうる

「空き家」の存在は、社会問題化しています。

2015年には、放置されている空き家によって、周辺の住環境が悪化することを防ぐための「空家法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)という法律が施行されました。

この法律によって、空き家の持ち主に対する地方自治体による行政指導や、強制的な撤去命令が可能となりました。

最初に述べたように、相続などをきっかけにして「空き家」ができることは珍しいことではありません。

もし、身近に空き家がある場合は、行政指導や撤去に至る前に、早めに対策をすることをおすすめします。

[シニアガイド編集部]