住宅全体の1割以上が「空き家」。県によっては2割を超える
身近になった「空き家」の存在
遺産相続のときに、問題になりやすいのが親が住んでいた実家の処分です。
例えば、「相続はしたけれど、処分もできず、誰も住んでいない空き家になっている」という話は、よく見聞きします。
気がついたら、近所の家が空き家になっていたという人も多いでしょう。
実際のところ、どれぐらいの住宅が空き家になっているのでしょうか。
また、都道府県によって、空き家の多い少ないはあるのでしょうか。
総務省統計局がまとめた「住宅・土地統計調査」の結果から紹介します。
1割以上の家が「空き家」になっている
「住宅・土地統計調査」の最新の結果は2018年に行なわれました。
調査の時点で、全国には「6,242万戸」の住宅がありました。
そのうちの「846万戸」が、空き家でした。
空き家の割合を示す「空き家率」を計算すると、「13.6%」です。
全国にある住宅の1割以上は空き家なのです。
「空き家」も「空き家率」も増え続けている
少しさかのぼって調べてみると、全国の住宅は増え続けています。
そして、「空き家の件数」も「空き家率」も増え続けていました。
つまり、空き家があっても、なかなか活用されず、新築の家が増え続けていることが分かります。
空き家が多いのは「大都市」
次に、都道府県別に「空き家の件数」を見てみましょう。
空き家の戸数で見ると、「東京都」や「大阪府」などの大都市と、その周辺に多いことが分かります。
空き家の多い都道府県(戸)
- 東京都 809,200戸
- 大阪府 709,300戸
- 神奈川県 483,000戸
- 愛知県 390,600戸
- 千葉県 381,100戸
- 北海道 377,900戸
- 兵庫県 359,800戸
- 埼玉県 346,200戸
- 福岡県 327,300戸
人口が少ない県は空き家も少ない
一方、人口が少なく、住宅の戸数が少ない県は、空き家の戸数も少なくなっています。
空き家が一番少ない「鳥取県」は、一番多い「東京都」の20分の1しかありません。
空き家の少ない都道府県
- 鳥取県 39,400戸
- 福井県 44,800戸
- 島根県 47,700戸
- 佐賀県 50,300戸
- 山形県 53,900戸
- 秋田県 59,900戸
- 富山県 60,000戸
- 沖縄県 66,800戸
- 徳島県 73,800戸
- 高知県 74,200戸
大都市は「空き家率」が低い
しかし、「空き家率」でみると、だいぶ様子が変わってきます。
大都市圏は、空き家率が10%~12%程度です。
全国の空き家率が「13.6%」ですから、それよりも低くなっています。
また、人口が増えている「沖縄県」なども空き家率が低くなります。
空き家率の低い都道府県
- 埼玉県 10.2%
- 沖縄県 10.2%
- 東京都 10.6%
- 神奈川県 10.7%
- 愛知県 11.2%
- 宮城県 11.9%
- 山形県 12.0%
- 千葉県 12.6%
- 福岡県 12.7%
- 京都府 12.8%
空き家率が2割を超える「山梨」と「和歌山」
一方、空き家率が高いのは「山梨県」と「和歌山県」で、いずれも空き家率が20%を超えています。
空き家率が一番低い「埼玉県」に比べると、空き家率は2倍を超えます。
また、四国の四県も、空き家率が高くなっています。
空き家率の高い都道府県
- 山梨県 21.3%
- 和歌山県 20.3%
- 長野県 19.5%
- 徳島県 19.4%
- 高知県 18.9%
- 鹿児島県 18.9%
- 愛媛県 18.1%
- 香川県 18.0%
- 山口県 17.6%
- 栃木県 17.4%
最終的は撤去命令もありうる
「空き家」の存在は、社会問題化しています。
2015年には、放置されている空き家によって、周辺の住環境が悪化することを防ぐための「空家法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)という法律が施行されました。
この法律によって、空き家の持ち主に対する地方自治体による行政指導や、強制的な撤去命令が可能となりました。
最初に述べたように、相続などをきっかけにして「空き家」ができることは珍しいことではありません。
もし、身近に空き家がある場合は、行政指導や撤去に至る前に、早めに対策をすることをおすすめします。