お坊さんを呼ばない「無宗教葬」が10年で2倍に増加

[2019/5/11 00:00]

「無宗教葬」の割合が急増

東京都江東区に拠点を置く、葬儀社のアーバンフューネスが「無宗教葬」の実績を公開しています。

「無宗教葬」とは、「僧侶などの宗教者を呼ばず、宗教儀式に縛られることなく行なわれる葬儀」です。

アーバンフューネスが扱った約1万6千件の葬儀のデータによれば、無宗教葬の割合は、2008年の12.2%から、2018年の24.4%へと、2倍に増えました。

無宗教葬については、増えてきているという談話や報道はありましたが、具体的な割合が明らかになった例は多くありません。

東京都という都会だからということもありますが、「葬儀の4件に1件は無宗教葬で行なわれている」というのは重みのある数字と言えるでしょう。

出典:アーバンフューネス

「無宗教葬」をする前の2つの注意点

では、自分が「無宗教葬」を行なう場合には、どんなことに注意すれば良いのでしょうか。

一つは、故人を葬るお墓の確認です。

一家の墓が菩提寺にあるのに、寺が関与しない無宗教葬を行なうのはトラブルの原因になりかねません。

寺によっては、戒名も付けず、読経もしていない故人を葬ることを受け入れない場合もあります。

寺は宗教者であって、単なる霊園経営者ではないのです。

どうしても「無宗教葬」を行ないたい場合は、密葬として僧侶を招いた葬儀を行ない、別途、「お別れ会」などの形で無宗教葬を行なうなどの工夫が必要となる場合もあります。

ただし、お墓があるのが宗教法人による霊園であっても、宗派を問わず広く集客しているような場合や、公営の霊園であれば問題はありません。

もう一つの注意は、葬儀の趣旨や構想を決めることです。

無宗教葬の場合、宗教儀式によらないので、葬儀を主宰する遺族の意向によって形が変わります。

単に、読経や焼香を行なわない代わりに献花をするという形もありますし、故人の好きだった音楽を生演奏する音楽葬という形もあります。

逆にいえば、定型がないからこそ、葬儀を執り行なう側にアイデアと見識が求められます。

単に「無宗教葬でお願いします」と言って葬儀社に任せっきりにしていたら、僧侶の読経の代わりに童謡が流れるだけだったという例もあります。これでは、葬儀の厳粛な雰囲気が保てません。

「無宗教葬」の目的は、僧侶を呼ばないことによってお布施を掛けないことではありません。

故人の生き方を表すのにふさわしい葬儀を作りあげることが目的なのです。

遺族や参列者が満足できるような葬儀にするためには、公開されている葬儀例などを見て、葬儀社と良く相談しておく必要があるでしょう。

[シニアガイド編集部]