地方移住で、最大300万円もらえる「支援金」制度が始まっている

[2019/5/14 00:00]

地方移住で、最大300万円のチャンス

2019年4月から、「地方へ移住して社会的事業を起業した場合に、最大300万円の支援金がもらえる」制度が始まっています。

これは、「起業支援金」「移住支援金」と呼ばれるもので、「地方創生(ちほうそうせい)」政策の一環です。

この制度の目的は「東京一極集中の是正及び地方の担い手不足対策のため、地方における起業、UIJターンによる起業・就業者を創出する」ことです。

ややよくばった目的を掲げているために、もらえる金額が大きい代わりに、いろいろと条件が多くなっています。

せっかくの支援金ですから、確実にもらうための条件を一つずつ紹介しましょう。

最大100万円もらえる「移住支援金」の条件

まず、最大100万円もらえる「移住支援金」の条件から見ていきましょう。

簡単に言えば、「移住して就職か起業するとお金がもらえる制度」です。

金額は、夫婦で移住する場合は100万円、単身者の場合は60万円です。

これをもらうための条件は3つあります。

  • 【移住元】東京23区の在住者又は通勤者(直近5年以上)
  • 【移住先】『東京圏』以外の道府県又は東京圏内の『条件不利地域』への移住者(※移住支援事業を実施する都道府県・市町村に限ります)
  • 【就業・起業】移住支援事業を実施する都道府県が、マッチングサイトに移住支援金の対象として掲載する求人に新規就業した方又は起業支援金の交付決定を受けた方

まず、【移住元】の詳細を見ていきましょう。

対象となる人は「移住直前に、連続して5年以上、東京圏(条件不利地域を除く)に在住し、かつ、東京23区に通勤していた人」に限られています。

ここで出てきた、『東京圏』は、ここでは「東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県」を指します。

そして、『条件不利地域』は、次の地域を指します。

  • 東京都:檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村
  • 埼玉県:秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、小鹿野町、東秩父村、神川町
  • 千葉県:館山市、勝浦市、鴨川市、富津市、いすみ市、南房総市、東庄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
  • 神奈川県:山北町、真鶴町、清川村

つまり、東京圏に住んでいても、山間部や離島に住んでいる人は対象外となります。

次の【移住先】ですが、「移住支援事業を実施する都道府県・市町村に限ります」という注釈があるのに注意してください。

この制度において、国が出してくれるお金は半分だけで、残りの半分は都道府県と市町村が折半しています。

そのため、都道府県が「やる」と決めないと、制度の対象にならないのです。

最後に【就業・起業】の条件を見てみましょう。

ここで注意が必要なのは、「都道府県がマッチングサイトに移住支援金の対象として掲載する求人」だけが対象となっていることです。

つまり、あなたが勝手に移住して、勝手に職を見つけても、それは「支援金」の対象になりません。

移住支援事業を実施すると決めて、マッチングサイトを立ち上げている県だけが対象なのです。

そして、2019年5月時点で、マッチングサイトが準備できているのは、富山県、福井県、香川県の3県だけです。

この3県以外でも、岩手県なども準備を進めています。

首相官邸のマッチングサイトのリストをチェックしながら、しばらく待った方が良いでしょう。

出典:首相官邸

最大200万円もらえる「起業支援金」の条件

つぎに、最大200万円もらえる「起業支援金」の条件を見てみましょう。

  • 東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行なう
  • 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行なう
  • 起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定である

『東京圏』と『条件不利地域』の定義は、さきほどと同じです。

注意が必要なのは、次の2点です。

  • 都道府県が選定する執行団体が、計画の審査や事業立ち上げに向けた伴走支援を行なう
  • 起業に必要な経費の2分の1に相当する額を交付する

つまり、勝手に起業するのではなく、あらかじめ申し込みをして審査を受けていないと対象になりません。

また、ポンと200万円くれるのではなく、必要な金額の半分までしか出ません。

起業する業種としては、「地域課題の解決を通して地方創生を実現することを目的とした事業」という縛りがあります。

ただし、「事業分野としては、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題に応じた幅広いものが想定されます」としているので、許容範囲は広そうです。

地域に貢献しながら、商売としても成り立っていくようなアイデアが必要でしょう。

出典:首相官邸

支援金制度は、向こう6年間続く

今回紹介した「移住支援金」と「起業支援金」は、条件さえ合えば、両方を受け取ることも可能です。

例えば「夫婦で地方に移住して社会的事業を起業した」ならば、300万円もらえることになります。

ただし、現状では、マッチングサイトを準備できている移住先が少なく、移住先の選択肢が限られています。

支援金の制度は、今年だけではなく、2019年度から6年間続く予定です。

あわてて行動する必要はありませんから、移住や起業のアイデアを考えながら、マッチングサイトの増え方を確認することをおすすめします。

すでにある3つの県のマッチングサイトを良く見て、移住や起業の条件を確認しておきましょう。

[シニアガイド編集部]