確定申告にコンピュータを使っていても、「書面」で申告する人が多い理由【訂正版】
【お詫びと訂正】初出時に、マイナンバーカードとカードリーダーが不要になる「ID/パスワード方式」についての解説が欠けておりました。お詫びして訂正させていただきます。
確定申告をした人の7割はコンピュータを使っている
国税庁が、2018年度の確定申告の状況を公開しました。
この記事では、所得税の申告に絞って紹介します。
所得税の確定申告をした人は、2,222万人でした。
そのうち、コンピュータを利用した人は、1,531万人です。
コンピュータを利用している人の割合は、約7割になります。
ただし、この割合には、会計ソフトを使っていながら、プリントアウトした「書面」で申告している人は含まれていません。この方法で申告すると、コンピュータを使っているかどうかを、税務署が判断できないからです。
そのため、実際には7割ではなく、もっと多くの人がコンピュータを使って確定申告をしていると思われます。
最後は「書面」で申告している人も多い
コンピュータを使っている場合、最終的な申告の形は2つあります。
1つは、プリントアウトして印刷したものを税務署の窓口に持ち込む「書面」です。
もう一つは、「e-Tax(イータックス)」という電子申告のシステムを使って、インターネット経由でデータを送る方法です。
現在、3人に1人が「書面」で、残りの2人が「e-Tax」という割合です.
せっかく、データ入力や計算をコンピュータで行なっているのに、「書面」で申告している人が、かなり多いことが分かります。
「確定申告書等作成コーナー」で作って、「書面」で申告する人が多い
コンピュータを使って確定申告をしている人たちが、具体的にはどんなソフトや申告方法を使っているのか、もう少し詳しく見てみましょう。
一番多いのは、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を使ってデータ入力を行ない、プリントアウトした申告書を使って、税務署の窓口に「書面」で申告している人です。
「確定申告書等作成コーナー」を使っている人に限ると、e-Taxを使っている人よりも、「書面」で申告している人の方が多いのです。
次に多いのが、市販の会計ソフトを使って入力し、e-Taxで電子申告している人でした。
マイナンバーカードなしで申告できる「ID/パスワード方式」
せっかく、「確定申告書等作成コーナー」や市販の会計ソフトを使っていながら、わざわざ「書面」で申告する人が多いのは、なぜでしょうか。
その理由の一つは、e-Taxを使うためには、写真入りの「マイナンバーカード」と、それを読み取るための「カードリーダー」が必要となることでしょう。
多分、マイナンバーカードなどを用意するぐらいなら、税務署に郵送する方が簡単だと思っている人が多いのでしょう。
カードリーダーは数千円で購入できますが、ほとんどこれ専用なので、年に一度の申告のために、わざわざ買う気にならないのかもしれません。
しかし、実は今年から、「ID/パスワード」方式という新しい方式が用意されています。
これは、身分証明書を持って税務署に行き、IDとパスワードを交付してもらうことで、マイナンバーカードとカードリーダーが無くてもe-Taxで申告できるというものです。
例えば、運転免許証を持っていて、マイナンバーカードを交付するのが面倒という人には便利な方法です。
詳細については、こちらを参照してください。
この方法は、パソコンだけではなく、スマートフォン(スマホ)でも利用できますが、スマホではできることが限られています。
来年度からは、スマートフォンで申告できる範囲も広がる予定です。少しでも使いやすいシステムに改良されることを期待しましょう。