「フリマ」や「民泊」など新しい取り引きに潜むトラブルの実例
スマホで広がる個人間取り引き
スマートフォン(スマホ)の普及に伴って、第三者に「場」を提供するデジタル・プラットフォームが介在する取引が増えています。
例えば、フリマアプリ、民泊サービスなどが良い例でしょう。
しかし、これらの取り引きは、従来の「業者」を相手にした商取引とは異なり、取引相手は「個人」です。
また、アプリやサイトを運営している「デジタル・プラットフォーマー」と呼ばれる業者は、取り引きの「場」を提供しているだけであり、個々の取り引きについては責任を取ってくれません。
国民生活センターでは、消費者から寄せられた相談例を公開し、ネットを経由した取り引きについて注意を呼びかけています。
ここでは、分野別に、注意事項と実際のトラブル例を紹介します。
フリマアプリ、オークションのトラブル
フリマサイトで匿名の出品者からブランドのパーカを約3万円で購入した。商品が届き受取評価をしたが、パーカに記載されていた事業者名が正規代理店名ではないことに気付き、偽物なのかと出品者に問い合わせたが連絡が取れなくなった。
フリマサイト運営事業者に問い合わせたが、「当事者間で解決するように」と言われたが、相手が特定できず何もできなかった。
フリマアプリにブランドの腕時計を約5万円で出品し、買い手がついた。商品を送ったところ、購入者から偽物であったとフリマアプリ運営事業者に報告されたようで、保証書の提出を求められた。保証書を提出したが、認められず、強制的に取引をキャンセルされ、商品も手元に戻ってこない。
オークションやフリーマーケット(フリマ)の運営事業者は利用規約等において、トラブルが発生した場合は原則、当事者間で解決することとしています。
当事者間で解決しなかった場合でも、原則介入しないとしている運営事業者もあり、利用者にとってはトラブルの解決が難しいケースもあります。
民泊サービスのトラブル
宿泊予約サイトで「アパートメント」という表示の宿泊先を予約した。宿泊予定の当日、指定されていた場所に宿泊先の鍵はなかった。予約仲介サイト運営事業者からは「キャンセルや不泊ではなく、宿主に返金を依頼する」と言われていたが、後日「宿主は料金を請求すると言っている」と連絡があった。
宿泊予約サイトは、いわゆる「民泊」を紹介するサイトです。
「民泊」は個人が持っている家屋や部屋を、宿泊用に貸し出すサービスです。
「鍵の受け渡しができず、宿泊できなかった」「部屋が清掃されていなかった」など民泊サービスの提供が不十分な場合に、民泊サービス提供者や宿泊予約サイト運営事業者に連絡しても、早急に対応されないケースがみられます。
オンラインショッピングモールのトラブル
オンライン・ショッピング・モールで海外事業者から購入したヘッドホンから出火した。モール運営事業者から教えられた海外事業者のメールアドレスに連絡をしたが返信がない。
モール運営事業者からは「当社に責任はない」と言われた。
オンライン・ショッピング・モールとは、複数の店舗が入っている仮想的な商店街のようなサイトです。
オンライン・ショッピング・モールの運営事業者は利用規約等において、トラブルが発生した場合は原則、消費者と販売事業者が直接交渉することとしており、トラブルの解決に介入しないケースが多くみられます。
スキルシェアリングサービス
スキルを売買できるサイトでイラスト作成を依頼した。出品者は「3日で仕上げる」とのこと
だったが、納品されない。キャンセルを申し出ると「既に取り掛かっているのでキャンセルに
は応じられない」と断られた。サイト運営事業者には「当事者間で交渉して」と言われた。
スキルシェアリングサービスとは、個人が持っている知識や技能を「スキル」として販売するサイトです。
スキルシェアリングサービスの運営事業者は利用規約等において、トラブルが発生した場合は原則、当事者間で解決することとしています。
当事者間で解決しなかった場合でも、原則介入しないとしている運営事業者もあり、利用者にとってはトラブルの解決が難しいケースもあります。
取り引きの相手が「個人」であることを忘れない
これらの事例を見ていると、いくつかの共通点があります。
- 取引相手は個人であって、専門の業者のようなサービスや誠意が望めない場合がある。
- サイトやアプリの運営者は、取り引きの場を提供しているだけであって、トラブルの際には対応してくれないか、してくれても限界がある。
つまり、一般的な商取引に比べて、自分で責任を持って取引相手を見定める必要があるのです。
もちろん、ほとんどの取り引きは問題なく行なわれていますが、万が一、トラブルに見舞われた場合は、自分の責任で解決しなければならないのです。
フリマや民泊を利用する際は、業者を相手にした通販ではなく、個人間の取り引きであることを覚えておきましょう。