意外に多い、国民年金の保険料が免除や猶予になる状況

[2019/6/12 00:00]

国民年金の保険料が免除になる制度

国民年金は、20歳から60歳まで保険料を納める義務があります。

就職をして、サラリーマンや公務員になった人と、その配偶者は厚生年金に移りますから、国民年金は払わなくなります。

しかし、それ以外の自営業、学生、退職者、農林水産業、無職などの人は、毎月、国民年金の保険料を払う必要があります。

2019年6月現在の保険料は、毎月「16,410円」です。

1カ月に1万6千円というのは、なかなか重たい負担なので、一定の条件を満たしている場合は「国民年金の保険料を免除または猶予」される制度が用意されています。

この記事では「免除」または「猶予」の対象になるケースを1つずつ紹介しましょう。

出産に伴なう免除

今年の4月にできたばかりなのが、「産前産後期間の免除制度」です。

これは、出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間の国民年金保険料が免除されます。

なお、双子や三つ子などの場合は、出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間の国民年金保険料が免除されます。

なお、妊娠4カ月以上の出産は対象となるので、早産された方なども対象になります。

配偶者からのDV被害者の特例免除

配偶者からの暴力(DV)により、配偶者(DV加害者)と住居が異なる人は、配偶者の所得にかかわらず、本人の前年所得が一定以下であれば、保険料の全額または一部が免除になります。

収入に応じて免除額は変わり、「4分の1」「半額」「4分の3」「全額」のいずれかとなります。

申請にあたっては婦人相談所または配偶者暴力相談支援センター等の公的機関が発行する「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」が必要となります。

まず、公的機関に相談して、危険な状態を脱してから申請しましょう。

学校に在学中は猶予

学生については、在学中の保険料が猶予となる「学生納付特例制度」があります。

対象は幅広く、大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、各種学校、一部の海外大学の日本分校まで含まれます。

夜間た定時制課程、通信課程でも対象となります。

各種学校や日本分校については、対象校が指定されていますので、リストを確認しましょう。

低所得に伴なう免除

20歳から50歳未満で、本人か配偶者の前年所得が一定額以下の場合には、国民年金保険料が免除されます。

収入に応じて免除額は変わり、「4分の1」「半額」「4分の3」「全額」のいずれかとなります。

自宅に引きこもっている家族がいる場合などにも利用できます。

会社を辞めたときの免除

会社を辞めたり失業したときは、厚生年金保険から国民年金へ戻ることになります。

この場合も申請することにより、保険料の納付が免除となったり、保険料の納付が猶予となる場合があります。

手続きには、雇用保険受給資格者証の写しなどが必要になります。

正社員が退職した場合は、手元にあるはずなので、確認してみましょう。

生活保護や障害年金を対象にした法定免除

生活保護、2級以上の障害年金を受けている人、ハンセン病療養所で療養している方は、「法定免除」と言って国民年金保険料が免除されます。

矯正施設に収容されているときの免除

「矯正施設」というのは法律用語で、刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、婦人補導院などを指します。

矯正施設に収容されている人の所得が少ない場合は、免除や猶予の対象となります。

申請には、所得の照明や住所の確認などが必要となります。

手続きはもよりの役所が窓口

国民年金保険料の免除手続きは、自分から申請して手続きをする必要があります。

また、手続きはもよりの市区町村の国民年金窓口で行ないます。

制度の詳細について確認する場合は、もよりの年金事務所でも相談できます。

なお、いくつかの制度では、すでに保険料を払ってしまっていても、一定の期間内であれば、猶予された分が戻ってきます。

もう過ぎてしまったからと言ってあきらめずに、問い合わせをしてみましょう。

「未納」のままの放置が一番危ない

この記事で紹介された条件に、あなたの状況が合っていれば、国民年金の保険料が免除や猶予され、一定の期間は保険料を支払わなくてすみます。

猶予や免除を希望する場合は、経済的に苦しい条件に置かれていると思われます。

当面の経済的な状況を改善するためにも、早めに手続きをしましょう。

もう一つ、国民年金保険料を「未納」のまま放置していると、障害基礎年金や遺族基礎年金をもらうための条件が満たせずに困る場合があります。

「免除」や「猶予」になっていれば、受給資格期間としてカウントされますから、その心配はありません。

国民年金は、65歳からもらえる老齢年金だけではなく、ケガや病気による障害を対象にした障害年金、死亡した際に遺族に残せる遺族年金も重要な存在です。

万一に備えて、自分の年金状況を整えておくことを意識しておきましょう。

[シニアガイド編集部]