運転する男性が50%を切るのは「80代後半」になってから
高齢者の運転についての調査
日本能率協会総合研究所が、高齢者の自動車の運転に関する調査結果を公開しています。
この報告書は、2019年2月に行なわれた郵送による大規模な調査の一部で、60歳から90歳までの男女2,500人が回答しています。
運転をする人は「70代後半」から減り始める
「運転をしている人」の割合を年代別に見ると、「70代前半」までは50%を超えています。
「70代後半」から下がり始め、「80代後半」では12%まで下がります。
運転する男性は、女性よりも20%多い
「運転をしている人」は男性が多く、女性が少ない傾向があります。
女性は「運転をしたことがない」という人が多く、「60代前半」でも、男性より20%ほど少なくなっています。
女性は「60代後半」から運転をする人が減っていきます。
しかし、男性は「70代前半」になっても運転をする人が減りません。
「70代前半」や「70代後半」では、運転を続けている人が、女性の2倍になります。
男性の方が、運転を続けることに強く執着している様子がうかがえます。
「郊外」では、70代まで運転をする人が多い
運転を続けるかどうかは、住んでいる地域によっても大きく変わります。
「都市部」に住む人は、70代に入ると運転をする人が減り始めます。
しかし、「都市近郊/郊外居住者」は、70代になっても運転を続ける人が多く、80代に入って、ようやく減り始めます。
この傾向は、男女とも変わりません。
都市と郊外では、自動車の運転を「70代」で続けるかどうかで違いがあるのです。
推測になりますが、都市部では自動車の運転を止めても、代わりになる公共交通機関があるため、70代で運転を止める人が多いのでしょう。
しかし、郊外では、自動車の運転を止めてしまうと、代わりになる公共交通機関が無く、日常生活に影響があるので、運転を続けるのでしょう。
それぞれの条件に応じて返納を考える必要
このレポートでは、運転免許証の返上は、男女差や住んでいる地域の差が大きく影響していることが分かりました。
特に、「70代の男性」は自動車の運転に対する執着が強いことが分かりました。
また、住まいが「郊外」の場合は、運転免許証を返納してしまうと日常生活に影響が大きいので、男女とも70代で運転を止める人は多くありません。
「運転免許証の返納を考えたことがある人」の割合を見ても、「70代前半」までは、返納を考えたことがある人は、ほとんどいません。
「70代後半」からようやく増え始め、「80代後半」で半分近くの人が、運転免許証の返納を考え始めます。
運転免許証の返納を促す場合は、これらの事情も考慮した上で、それぞれの事情に応じて説得の方法を考える必要があるでしょう。