高齢者世帯の平均収入は「334万円」。半分以上が「生活が苦しい」と回答
「高齢者世帯」の生活を探る
私達は、どんな老後を迎えるのでしょうか。
それを知るためには、現在の高齢者がどんな生活をしているのかが参考になります。
ここでは、厚労省のデータをもとに、「高齢者世帯」の生活の実状を紹介します。
全世帯の4分の1は「高齢者世帯」
「高齢者世帯」とは世帯の種類を示す用語で、「65歳以上の者のみで構成するか、これに18歳未満の未婚の者が加わった世帯」を指します。
「高齢者世帯」は増え続けており、2018年の調査では「1,406万3千世帯」もあります。
これは、国内のすべての世帯の「27.6%」にあたります。
つまり、全世帯の4分の1以上は、高齢者が中心の世帯なのです。
「夫婦のみの世帯」と「単独世帯」が半分ずつ
高齢者世帯の構成を見てみましょう。
高齢者世帯の、ほぼ半分は「夫婦のみの世帯」です。
残りの半分は、一人暮らしの「単独世帯」です。
そして、単独世帯を男女別に分けると、「男性の単独世帯」は、「女性の単独世帯」の、半分しかありません。
夫に先立たれた女性は生活が変わる
どうして「女性の単独世帯」は多いのでしょうか。
それは、「夫婦のみの世帯」の割合を、年代別に見ると分かります。
「夫婦のみの世帯」の割合は、「60代後半」では、男女で変わりません。
男性は、このまま「80歳以上」まで、夫婦二人で暮らしていきます。
しかし、女性は「70代後半」や「80代以上」になると、配偶者が先立ってしまうことが多いのです。
つまり、女性は配偶者の死をきっかけにして、生活が変わるのです。具体的には、一人暮らしになるか子供との同居に移ります。
これが理由で、単独世帯は、女性の方がずっと多いのです。
夫婦二人で暮らす女性は、70代以降に、生活が変わる可能性が高いことを覚えておくと良いでしょう。
半分以上の人が「生活が苦しい」と言う
次に「高齢者世帯」の経済面を見てみましょう。
自分の生活について、経済面の生活意識を聞いています。
程度の差はあっても「生活が苦しい」という人が、全体の半分以上を占めています。
次に多いのが「普通」で、全体の4割ほどです。
程度の差はあっても「生活にゆとりがある」という人は、全体の4%弱しかいません。
高齢者世帯の収入は「334万円」
では、「高齢者世帯」では、具体的にどれぐらいの収入があるのでしょうか。
高齢者の平均所得額は、「334万9千円」でした。
これは、すべての世帯の平均である「551万6千円」に比べると、かなり少ない金額です。
過去10年の変化を見ると、ここ数年は少し増えていますが、300万円前後であることは変わりません。
収入の柱は「公的年金」
「高齢者世帯」の収入の内訳を見てみましょう。
すべての収入の6割は「公的年金・恩給」です。
年金が老後の収入の柱となっていることは、間違いありません。
次に多い「稼働所得」は、働いて得た収入です。
65歳以上になっても、働くことで一定の収入を得ている人がいることが分かります。
三番目に多いのは、「財産所得」です。
これは、不動産の賃貸による利益や、株式投資の配当などが中心です。
まとめると、「高齢者世帯」の収入は、公的年金を中心にして、働いて得た収入や、投資による収入などが補う形になっています。
現在の高齢者は、未来の自分
ここまで、「高齢者世帯」の暮らしについて見てきました。
現在の高齢者世帯は、自分の未来の姿を知るための写し鏡です。
時代環境の差はあっても、参考となる要素は多いので参考になる点が少なくありません。
とくに経済面での苦しさを訴えている人が多いことは、他人事ではありません。
公的年金だけではなく、「稼働所得」や「財産所得」などで収入を補うことを考えておきましょう。
これ以外に、企業年金や個人年金なども、老後の収入として準備できます。
また、女性の場合、70代後半以降は夫に先立たれて、生活が変わる可能性があり、こちらも準備や心構えが必要です。
将来に何が待ち構えているかが分かっていれば、それに対して準備することができます。
少しずつで良いので、将来に向けて用意を進めていきましょう。