家族の看取りをした人の4割近くが「死が近いと思っていなかった」
看取りの経験者へのアンケート
シンクタンクのみずほ情報総研が、看取りの経験者を対象にしたアンケートの結果を公開しています。
2018年1月に行なわれたインターネット調査では、最近10年に家族や近親者を看取った経験のある50代と60代の男女1,000人が回答しています。
この記事では、看取りの状況と、そのつらさについて紹介します。
看取りの前は家族への負担が増える
看取りの対象となった人が亡くなる2~3カ月前の、介護などの支援の変化について聞いています。
全体の半分が、支援の頻度と量が「増えた」としています。
看取りの時期には、家族や近親者など、介護する人の負担が増えることが分かります。
「変わらない」が4分の1で、「減った」という人はほとんどいません。
4割近い人が「死が近いと思っていなかった」
看取りをした人は、家族の死期について、どう感じていたのでしょうか。
亡くなる2~3カ月前の状況では、「かかりつけ医から説明を受けた」という人が4割弱で、一番多いことが分かります。
また、「本人の心身状態を見て思った」という人も2割を超えます。
その一方で、「亡くなるのはもっと先だと思っていた」という人と、「突然でまったく予期していなかった」という人が、それぞれ2割ぐらい存在します。
つまり、看取りをした人の4割弱は、家族の死を覚悟していない状態であったことが分かります。
苦しむ本人を見て家族も苦しむ
「死を前にした時に感じる、解決することが困難な苦しみ」を「スピリチュアル・ペイン」と呼びます。
スピリチュアル・ペインは、例えば「まわりに迷惑ばかりかけて情けない」「死ぬのがこわい」「家族を残していくのが心配」などの発言にも表れます。
自分の死を前にしてスピリチュアル・ペインを感じている本人に接するとき、「つらい」と感じる家族や近親者は6割以上もいます。
死は、本人だけではなく、家族にも苦しみを与えるのです。
また、「本人が人生の最終段階にあるとは思っていなかった」という人も1割以上います。
知っている場合と知らない場合では、対応にも差が出てしますでしょう。場合によっては、後悔のタネになりかねません。
元気な時に話し合っておくことが大切
みずほ情報総研は、レポートの結論で、次のように提案しています。
家族・近親者の約4割が、本人が亡くなる2~3カ月前でも、「本人の死を予期していなかった」と回答しており、予め死期を予測して準備することの難しさも明らかとなった。
死期を予測することは難しいが、だからこそ、元気なうちからエンドオブライフをどこで、どのように過ごすのかといった自分の意思を、もう少し早めに信頼できる人に伝えておくこと等により、自分の希望を実現する可能性を高めることができるであろう。
アンケートでも、死んでいく本人だけではなく、看取りをする家族や近親者もつらさを感じていることが分かりました。
看取りをしてくれる人も苦しむということを理解し、少しでもその悲しみが小さくなるように事前に配慮できれば、それは素晴らしいことでしょう。