ふるさと納税の1位はやっぱり泉佐野市。制度上の問題が明らかになった1年

[2019/8/5 00:00]

ふるさと納税が5千億円を突破

総務省が2018年度のふるさと納税の実績を公開しました。

2018年度のふるさと納税の総額は「5,127億円」で、前年度の1.4倍となりました。

これは、Amazonギフト券を返礼品とした「大阪府 泉佐野市」など、自治体同士による競争が大きく影響しています。

出典:データを基に編集部が作成

4位までで20%以上を集める

ふるさと納税の受け入れ額が多かった自治体の1位は、泉佐野市で497億円でした。

2位から4位までは、「静岡県 小山町」「和歌山県 高野町」「佐賀県 みやき町」です。

この4つの自治体だけで、1,111億円を集めており、ふるさと納税全体の22%を占めています。

なお、この4つの自治体は、過当な競争などを理由に、2019年6月1日以降は総務省の指定を外されました。

そのため、現在は4つの地方自治体への寄付は「ふるさと納税」として扱われず、税金が還付されません。

出典:データを基に編集部が作成

寄付した金額の半分以上は経費で消える

ふるさと納税による寄付は年々伸びていますが、いろいろな問題も出始めています。

1つは、ふるさと納税に関わる経費の多さです。

ふるさと納税に関わる経費は、寄付された金額の「55%」に達しています。

つまり、せっかく寄付を行なっても、その半分以上は、経費として消えてしまうのです。

経費の中で一番大きいのは、「返礼品の調達」で、寄付として受け入れた金額の35.4%を占めています。

2019年6月以降は、法律によって「返礼品の調達」に充てる金額が、30%以内になるよう義務付けられました。

これによって多少の改善はされる見込みですが、依然として経費の割合が高くなっています。

出典:データを基に編集部が作成

136億円も住民税が減っている「横浜市」

もう1つの問題は、ふるさと納税をする人が多くなると、その人たちが住んでいる自治体の住民税が減ってしまうことです。

ふるさと納税は、寄付を行なうと、寄付の金額から2,000円を引いた額について、所得税と住民税から控除という名前の割引が受けられる制度です。

例えば、神奈川県 横浜市に住んでいる人が、大阪府 泉佐野市に1万円のふるさと納税をすると、横浜市に入る住民税が8,000円少なくなります。

この控除の金額が一番多いのが神奈川県 横浜市でした。

その金額は136億円に上ります。

控除額が大きいのは、人口の多い大都市圏の自治体が多いので、深刻な影響は出ていませんが、今後もふるさと納税が伸び続けると、寄付をした人が住んでいる自治体が予算不足になる可能性があります。

ふるさと納税は、寄付を受けた自治体と、寄付をした人の両方にメリットのある制度ですが、一方で、現在住んでいる自治体にデメリットがあることは覚えておいても良いでしょう。

出典:データを基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]