テレワークのメリットは「対人ストレスの軽減」、デメリットは「コミュニケーション不足」
500人の産業医に聞いた「リモートワーク」
法人向け産業保健支援サービス「first call(ファーストコール)」が、「従業員のリモートワークに関するアンケート」の結果を公開しています。
このアンケートは、企業の従業員の健康管理等について、専門的な立場から指導や助言を行なう「産業医」を対象に行なわれたました。
2019年6月に行なわれたインターネット調査には、500人の産業医が回答しています。
オフィス以外で働く働き方
このアンケートで用いられている「リモートワーク」とは、一般には「テレワーク」と呼ばれることが多い働き方です。
テレワークの公式の定義は、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」です。
簡単に言えば、ネットワークを経由して、会社以外の場所でパソコンを使って働きます。
働く場所は「自宅」や「サテライトオフィス」「コワーキングスペース(共同利用の貸オフィス)」「出先からのモバイルワーク」などがあります。
テレワークは、政府が「働き方改革」政策の一端として推進しているため、最近は耳にする機会が増えてきました。
メリットを感じている産業医が8割
そんな「リモートワーク」を産業医は、どう受け止めているのでしょうか。
まず、「リモートワークは、メリットとデメリットのどちらが大きいか」と聞いています。
一番多い回答は「どちらかというとメリットが大きい」でした。
「メリットが大きい」と合わせると、産業医の8割はリモートワークにメリットを感じていることが分かります。
メリットは「対人ストレスの軽減」
では、「リモートワークのメリット」は、どこにあるのでしょうか。
一番多い回答は「対人ストレスが軽減される」でした。
対人ストレスはメンタル不調の原因になりやすいので、リモートワークをうまく活用すれば不調の予防や復職支援になるというわけです。
次に多いのは「自分のペースで仕事ができる」で、「通勤ストレスが軽減される」が続きます。
デメリットは「コミュニケーション不足」
逆に「リモートワークのデメリット」は、何でしょう。
一番多い回答は「コミュニケーションが不足する」でした。
「やはり実際に顔を合わすのとは大きく異なる」というコメントに代表されています。
次に多いのが「人間関係が希薄化する」で、「コミュニケーションエラーが起きやすい」が続きます。
リモートワークは人と仕事を選ぶ
それぞれの設問に対して、産業医から寄せられたコメントのうち、いくつかを紹介しましょう。
- 対人関係が原因のメンタル不調にはよい。
- 人としゃべることはストレス発散になる人もあれば、かえってストレスという人もいて、一概にいうのは難しい。
- 顔を見ないと疑心暗鬼になる。
- 生活リズムを自己管理できない人にはデメリットが多い。
- 無理をして過労にならないようフォローしていく必要がある。
つまり、リモートワークは、業務においてスキルがあり、自立して作業できるだけの自己管理力がある人にとっては、メリットが多い制度と考えている産業医が多いのです。
一方で、リモートワークは個人の自己管理が強く求められるため、自立して作業できる人でないと難しいと感じている産業医もいます。
例えば、「サボる」「生活リズムが狂う」「働きすぎる」などが心配ということでしょう。
また、スキルが低くフォローする機会が多くなりがちなスタッフに対しては、コミュニケーション不足からフォローが行き届かない場合もあるでしょう。
そのような場合は、オフィスで机を並べて作業をした方が、フォローしやすく、作業が進むでしょう。
「リモートワークは人と仕事を選ぶ」というのが、このアンケートの結論のようです。