死後の葬儀と埋葬を事前予約できる熱海市の新制度。「救急医療情報キット」との連携に特徴
一人暮らしの高齢者が対象
静岡県 熱海市は、2019年8月1日に「熱海市終活支援事業 あんしん」を開始しました。
「あんしん」は、一人暮らしの高齢者が、生前に契約しておくことで、死後に葬儀と埋葬を行なってもらえる制度です。
「あんしん」の対象となる条件は、次の通りです。
- 熱海市に住民登録がある
- 年齢が65歳以上
- 単身世帯
- 頼れる身寄りがいない
- 契約する能力がある
生前契約を済ませて、後の処理を委託
「あんしん」の登録方法と、死後に依頼できることを見てみましょう。
まず、登録は、次の手順で行なわれます。
- 市役所で職員と面談
- 協力葬儀社のリストから葬儀社を選ぶ
- 葬儀社と生前契約を交わし、費用を預ける
- 市役所から登録証とカードが渡される
「あんしん」に登録した人が死亡し、市役所に届け出があると、市役所は契約した葬儀社に連絡をします。
葬儀社によって、 死亡診断書の受け取り、遺体の搬送、死亡届の提出、火葬、埋葬(納骨)が行なわれます。
登録証の形と情報の伝え方に一工夫あり
「あんしん」と同様の生前登録制度は、横須賀市や大和市でも行なわれています。
しかし、「あんしん」では、登録証の形と保存方法に一工夫があります。
「あんしん」の登録証は、紙と登録カードの2種類が用意されます。
紙の登録証は、熱海市が65歳以上の高齢者などに無償配布している「救急医療情報キット」と一緒に、冷蔵庫に保管しておきます。
救急医療情報キットは、救急車などのスタッフが医療関係の情報を把握するための書類を、樹脂製の筒に入れたもので、家庭の冷蔵庫にしまっておきます。
このキットには、冷蔵庫の扉に貼るマグネットシートも用意されているので、救急車のスタッフが見落とすことはありません。
医療情報とともに、「あんしん」の登録証が病院にも手渡されるので、急病による死亡時でも、希望した葬儀や埋葬が受けられます。
また、登録カードは財布などに入れておけば、外出時などに倒れた場合でも、「あんしん」の登録者であることが伝わります。
あまりコストを掛けず、しかも確実に情報が伝わる、よく考えられたシステムと言えるでしょう。