50代後半になっても、親の財産を把握するのは難しい
親にどれだけ財産があるのか聞くのは難しい
親の財産がどれぐらいあるのかというのは、子供であっても面と向かって聞きにくいものです。
明治安田総合研究所が行なった調査では、「預貯金」「有価証券」「保険」の3つについて、子供がどれぐらい親の財産を把握しているのかを聞いています。
2019年3月に行なわれたインターネット調査には、全国の55歳から69歳の男女1,830人が回答しています。
親の預貯金を把握している人は半分もいない
最初に、親の預貯金について見てみましょう。
この調査では、子供の年齢によって「50代後半」「60代前半」「60代後半」の3つのグループに分けています。
「親の預貯金の状況を把握している」という人は、「50代後半」では4割前後です。
つまり、この年代では半分以上の人は、親の預貯金について把握していません。
「60代前半」で、ようやく半分になりますが、「60代後半」になっても把握していない人が少なくありません。
「有価証券」はもっと把握しにくい
財産の種類が、株式や社債などの「有価証券」になると、さらに把握している人が少なくなります。
「50代後半」はもちろん、「60代前半」になっても、半分以上の人が有価証券の状況を把握していません。
比較的、親の財産を把握している「60代後半」の男性でも、ようやく6割ぐらいが把握しているのに留まります。
「保険」については話がしにくい事情がある
質問が「親の保険の状況」になると、さらに把握している人が少なくなります。
「保険」は、親が亡くなってから、家族に残されるお金だけに、「いくら保険に入っているの」とは聞きにくいのでしょう。
下手をすると、「俺が死んだら、いくら金が入ると期待している」と悪い方向に捉えられてしまう可能性があるからです。
親からも歩み寄りが必要
親の財産の把握状況を年代別に見ると、「50代後半では3割」「60代前半では4~5割」「60代後半で5割前後」というところです。
子供が60代になるころから「預貯金」について把握している人が増えるのは、親の口座からお金を引き出すなど、サポートをする場面が増えるからでしょう。
特に、子供が「60代後半」になると、親は若くても80代後半にはなっているでしょう。そろそろ現金の管理が難しくなってきても不思議はありません。
また、親が施設に入るなど、親の銀行口座の残高などを知る機会が増えるのでしょう。
しかし、子供が60代後半になっても、「預貯金」「有価証券」「保険」などの状況が把握できていない人も少なくありません。
そういう人の場合、親の財産が把握できるのは、親が亡くなってからなのでしょう。
それだけ、生きている親を前にして、子供の側からお金の話をするというのは、難しいことなのです。
そういう事情を考えると、親の側から、少しずつ財産の状況を話したり、財産目録付きの遺言書を準備するなど、子供に情報を伝える努力が必要なのかもしれません。