日本のフリーランス人口は約300万人。大卒の平均収入は「517万円」
政府によるフリーランスの統計
政府は、2019年6月にまとめた成長戦略で、副業と兼業の拡大やフリーランスとして働きやすい環境づくりを打ち出しています。
しかし、「フリーランス」については、公的な統計もない状態でした。
これを受けて、内閣府が「日本のフリーランスについて」というレポートを公開しています。
この記事では、レポートの内容を基にして、フリーランスの人口と、その収入例について紹介します。
日本のフリーランスは約300万人
レポートでは、フリーランスを次のように定義しています。
『特定の組織等に属さず、独立して様々なプロジェクトに関わり自らの専門性等のサービスを提供する、多様で柔軟な働き方』
そして、フリーランス人口を推計するために、次のような具体的な働き方を想定しています。
- 自営業主(人に雇われていない)
- 雇用人なし(人を雇っていない)
- 店舗を持っていない
- 内職(自宅で行なう作業が中心)
- 農林漁業を除く
この条件に沿った、フリーランスの推計人口は「306万人」でした。
うち、フリーランスを「本業」としている人が200万人、「副業」としている人が106万人です。
条件を少し緩めて、従業員のいない社長一人だけの法人を含めると、フリーランスの推計人口は「341万人」に増えます。
うち、「本業」としている人が228万人、「副業」としている人が112万人です。
つまり、日本のフリーランス人口は「306万人~341万人」、「フリーランスを本業としている人」が「200万人~228万人」と見れば良いでしょう。
なんらかの仕事をしている「就業者」全体に占める「フリーランス」の割合は、「4.6%~5.1%」となります。
「本業」と「副業」の境界はあいまい
なお、「フリーランス」においては、「本業」と「副業」の区別は明確ではありません。
例えば、フリーランス人口を341万人とする推計でも、「本業」の条件を「仕事を主(おも)にしており、家事や通学が主ではない」と、少し厳しくするだけで、「本業」の数が178万人に減ります。
本業と副業の間に、はっきりとした線を引くことができないのは、「多様で柔軟な働き方」の特徴と言えるでしょう。
ちなみに、「フリーランスを本業とする人」に限ると、就業者全体に占める割合は3%ぐらいになります。
アメリカの統計では「6.9%」なので、日本はまだフリーランスを本業としている人は少ないことが分かります。
収入の平均は「517万円」だが、中央値は300万円台
最後に、フリーランスの収入を見てみましょう。
ここで見るのは、フリーランスを本業としている人に絞ったデータです。
収入の分布は、学歴別のグラフにまとめられています。
学歴が「大学卒」の場合、平均値は「517万円」でした。
収入が少ない方から順番に並べたときに、真ん中にあたる「中央値」は「300~399万円」でした。
800万円以上の収入がある人は「20%」ほどです。
中央値は300万円台と低いのですが、一部の高収入の人が平均値を500万円台まで引き上げています。
一方、学歴が「高校卒」の場合、平均値は「326万円」でした。
中央値は「250~299万円」で、800万円以上の収入がある人は「5%弱」です。
大卒と高卒を比べると、中央値の差は少ないのですが、平均値にはかなり差があります。
同じフリーランスであっても、学歴によって、収入には差が出ていることが分かります。
しかし、フリーランスの収入を決めているのは、学歴だけではありません。同じ大卒同士でも、収入には大きな差があります。
同じ学歴でも、職種や能力による収入の差が大きいのです。
「フリーランス」は、その人の来歴や実績など、その人の持っている総合力が、収入に反映されやすい働き方なのです。