テレワークを始める前に知っておきたい4つのストレス

[2019/9/3 00:00]

産業医によるテレワークのチェックポイント

総合情報サイト「All About」が、テレワークで働く際のチェックポイントを提言として公開しています。

提言をまとめたのは、All About「医師/働くひとの健康」でガイドを務める、ベンチャー経営産業医の山田 洋太(やまだ ようた)氏です。

この記事は、山田氏による提言を、表記のみ改めて掲載しています。

山田 洋太氏

テレワークならでは4つのストレス

テレワークを利用していると長時間労働になりやすいことは研究でも明らかにされています。

通勤時間がないことでその時間を有効的に使って仕事を早く終えたいという心理が働き、結果的に、休憩時間も短くなりがちです。

それでも、満足度が高い理由としては、自ら働く場所を選べていることや、その優越感、そして通勤ストレスからの解放などが挙げられるでしょう。

そういった自由度の高さゆえに本人が満足しているということ、また閉鎖的な環境故に、テレワークによるストレスは本人も周囲も感じにくいと言えます。

一般的に労働者のストレスの原因は、職場の環境、仕事そのもの、スキルのミスマッチ、人間関係の4つに大別できます。

テレワークは、これら4つそれぞれに影響をもたらすため、使い方を工夫するのが上手な利用方法です。

環境のストレス

会社に集まって働く場合、生産性を高める職場環境を会社が創っている。室温、騒音、照度、作業場など同じ環境を在宅で創り上げないと仕事の成果に影響し、ストレスになる。

仕事内容のストレス

テレワークは、基本的には裁量権が委任されるような仕事や人に向いている。そうではない場合、長時間労働になりやすく、やらされている感も強くなる傾向にある。

スキルのストレス

新卒や仕事に慣れていない人が、わからないことがあった際にどのタイミングでどうやって周囲にサポートを求めればいいのか、明確になっていない場合が多い。スキルが不十分な場合はテレワーク自体がストレスになる。

人間関係のストレス

プライベートの話など、職場での何気ない会話が減り、仕事の話だけになることで孤独を感じやすく、ストレスになる。

働きやすさの推進と、業務効率は別々に考える

働き方改革の観点でも注目されているテレワークですが、現状は子供や親の看病/介護、自身の体調が悪い時などに使われやすいといった課題があります。

働きやすさを向上させることは労働力を維持し、従業員の暮らしをサポートするうえで重要ですが、利用するシーンを間違うと、従業員が休むべき時に休めないといったことが起こります。

業務効率の向上を同時に求めるのであれば、小さなお子さんや介護の必要がある人がいる場合には、テレワークは不向きです。

また、隠れストレスへの対策としても、自己管理能力の高さが求められます。

テレワークに向いている人/職種

  • 通勤が何らかの理由で出来ない(家庭の事情、自身の身体的不自由等)
  • 仕事の要件が決まっており、それに対して向き合える人
  • 仕事以外でのコミュニティを多く創っている人
  • 時間管理が厳格な場合、仕事を割り切れる人
  • 小さな案件のクリエイティブ職

テレワークに不向きな人/職種

  • 自宅が働ける環境にない人(育児・介護・ペット、外部騒音等)
  • 仕事の全体要件が見えづらく、繰り返し情報共有をしないといけない人(新卒や転職直後等)
  • 仕事でのチームワークを重視して、仲間意識の高い人
  • 大きな案件のクリエイティブ職(Face to Faceでの議論の方がイノベーティブな案が出やすい)

テレワーク/リモートワークを上手に利用する三カ条

「オンオフ」を意識してルーティーンを作る

テレワークであっても決まった時間に起床し、決まった時間に朝食を食べ、決まった時間に仕事を開始し、決まった時間に仕事を終えて、プライベートの時間を楽しむというルーティーンが大切です。

プライベートで過ごす場所と仕事部屋は別にする

もし難しければ、一度疑似出勤をするように、朝家を出て、5分から10分ほど歩いてまた家に帰ってきて仕事モードにするのも良いでしょう。仕事終わりにも同じく外出してモードをプライベートに戻していくのも良い。

自分の健康を意識的にチェック

会社で受けられる定期健康診断やストレスチェックか必ず受診。労働時間を管理しつつ、ルーティーンを崩さずに仕事をすることが重要。ルーティーンが出来ていないときは何か問題が発生している可能性がある。

自分の性格や仕事の内容も含めて検討を

山田氏の提言は以上になります。

テレワークは、「通勤しなくて良い」「時間が自由に使える」という利点が強調されやすく、テレワークならではストレスについて触れられる機会は多くありません。

山田氏の提言にもあるように、テレワークには、長所と短所があり、人や職種による向きと不向きもあります。

テレワークに取り組む際は、自分の性格や、自分のしている仕事が、テレワークに向いているかどうかも含めて検討してください。

[シニアガイド編集部]