外国でも老後は大変なのか、アメリカやスウェーデンと比べてみる

[2019/10/3 00:00]

よその国でも、老後は不安なのか

2019年6月に起きた、金融庁による「老後の生活資金2,000万円不足問題」をきっかけに、老後への不安が問題となっています。

このような、老後への不安は、日本だけの問題なのでしょうか。

諸外国では、高齢者はどれぐらい年金をもらって、どのように暮らしているのでしょうか。

内閣府の調査データをもとにして、紹介します。

4カ国の高齢者千人への面接調査

今回使ったデータは、2015年に日本、ドイツ、アメリカ、スウェーデンの4カ国で、60歳以上の男女千人程度を対象に行なわれたものです。

単なるアンケートではなく、統計的な標本の抽出を行ない、面接によって回答を得た調査ですので、内容についての信頼度は高いと言えるでしょう。

1カ月の平均収入が少ない「日本」

まず、「1カ月の平均収入」から見てみましょう。

一番少ないのは日本で「21万7千円」です。

ドイツ、アメリカ、スウェーデンの順に多くなっていきます。

特にスウェーデンは、円換算で30万円を超えています。

現役時代の社会的な負担が大きい「高負担高福祉」の国とはいえ、なかなかうらやましい金額です。

出典:データを基に編集部が作成

日本では半分近い人が「20万円未満」で暮らしている

次に、「平均収入が20万円未満の人の割合」を見てみましょう。

日本では「45%」の人が、月収20万円未満です。

ドイツとアメリカは30%台ですが、スウェーデンは20%を切っています。

特にスウェーデンは低収入の人が少ないのです。

出典:データを基に編集部が作成

暮らしにくさを感じている人が多い「アメリカ」

しかし、平均収入が高いことが、暮らしやすさにつながるわけではありません。

「日々の暮らしに困ることがある」という割合は、アメリカが多くなっています。

アメリカは、日本やドイツよりも平均収入が高いのですが、暮らしに困っている人が多いのです。

スウェーデンは、暮らしに困っている人が少なく、他の国とは10%以上も差があります。

出典:データを基に編集部が作成

働くことが求められる「アメリカ」と「日本」

アメリカの暮らしにくさの原因の一つは「主な収入源」にありそうです。

4カ国とも、一番多い収入源は「公的年金」です。

しかし、アメリカでは、その割合は55%に留まっており、70%台の他の国とは差があります。

そして、「仕事」での収入の割合は日本と並んで一番多くなっています。

収入を年金に頼れず、収入を得るために働き続けなければならないという圧力が、生活の不安につながっている可能性があります。

出典:データを基に編集部が作成

「個人年金」と「投資」で老後に備える

最後に、「老後の生活費に対する備え」を見てみましょう。

これは「50代までに、老後の経済生活に備えて、特になにかしていたか」を聞いたものです。

日本とドイツは「預貯金」が中心です。

一方、アメリカとスウェーデンでは、「個人年金」を利用していた割合が高く、「投資」も活発です。

日本でも、税金の優遇を受けながら投資や貯金ができる個人年金制度として、「個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)が整備されてきています。

このような制度を利用して、現役時代から自分のための年金を積み立てておくことが、老後への不安を和らげることにつながるでしょう。

出典:データを基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]