年金の振り込みは2カ月に1回。健康保険料の天引きにも注意
年金を受け取るときの戸惑い
65歳になってから受け取れる「老齢年金」は、支払い方法がちょっと変わっているので、最初は戸惑うことになります。
初めて年金を受け取る人が戸惑う主な理由は、2つあります。
- 年金は1カ月単位ではなく、2カ月分がまとめて振り込まれる
- 年金から、いろいろなものが「天引き」されてから振り込まれる
この記事では、この2点を中心に「老齢年金」の振込金額について紹介します。
年金は2カ月に1回振り込まれる
老齢年金を含む、日本の年金は2カ月に1回振り込まれるのが基本です。
振込日は、「偶数月の15日」です。
15日が土曜日、日曜日、祝日のときは、その直前の平日になります。
振り込まれる年金は、振込月の分ではなく、前月と前々月の分です。
例えば、6月15日に振り込まれるのは、6月分ではなく、4月分と5月分です。
ですから、4月に年金額の改定などがあっても、それが振込金額に反映されるのは6月になってからです。
振込月と、それが何月分なのかをまとめておきましょう。
- 6月15日(4月/5月分)
- 8月15日(6月/7月分)
- 10月15日(8月/9月分)
- 12月15日(10月/11月分)
- 2月15日(12月/1月分)
- 4月15日(2月/3月分)
年金からは健康保険などが天引きされる
もう一つ、初心者が戸惑う原因が「特別徴収(とくべつちょうしゅう)」という名前の「天引き」です。
老齢年金が振り込まれるときは、年金から3種類のお金が天引きされてから振り込まれます。
- 国民健康保険料 または 後期高齢者医療保険料
- 介護保険料
- 個人住民税
健康保険については、75歳未満は「国民健康保険料」、75歳以上は「後期高齢者医療保険料」が引かれます。
なお、サラリーマンとして働き続けていて、社保と厚生年金への加入が続いている人は、これまで通り給与から天引きされます。年金からも天引きされて、二重取りになることはありません。
特別徴収する金額などに変更があった場合は、そのつど「年金振込通知書」が届きます。手取りの金額が変わりますので、確認しておきましょう。
2カ月単位の生活には慣れが必要
ここまで説明した、年金の振り込みに関わる2つの仕組みは、年金生活の初心者には高い壁と感じられるようです。
年金をもらい始めて日が浅い人からは、「お金が入るのが2カ月に一度になったので、慣れるまでお金の使い方に苦労した」という話を聞きます。
お金を使い切ってしまい、「手元のお金が少なくなって、若い頃のように、年金の振込日まであと何日と数えながら過ごした」という人もいました。
現役時代に貯金をしておかないと、こういうところでも困るのです。
また、2カ月がまとめて振り込まれることについては、こんな笑い話があります。
「初めて年金が振り込まれたときに、2カ月分だとは知らずに、意外と多くもらえるじゃないかと喜んで全部使ってしまった。そうしたら、翌月になっても振り込まれず、そこで初めてあれは2カ月分だったんだと気がついた」
もちろん、日本年金機構からは、振込日などについての書類が届くのですが、実際に振り込みが始まるまでは、それが実感できないことが、よく表現されています。
もう一つの、「特別徴収」については知らない人が多いようで、「通知されていた年金の額が思ったよりも少ないので覚悟していたら、さらに保険料などが天引きされていたのでがっかりした」という話を聞きます。
特に、保険料が天引きされることについては、「もう、年金をもらうような歳になったんだから、社会からリタイアして、保険料なんて払わなくても良くなると思っていた」という人がいて、びっくりしたことがあります。
この人は、会社を辞めて年金生活に入ったら、自分の人生が終わるような気持ちになっていたのでしょう。
しかし、「会社=人生」ではありません。勤めを辞めても、年金をもらうようになっても、人生は続くのです。税金も保険料も離してはくれません。
家族の社会保険に扶養で入らない限りは、健康保険の保険料は払い続けるものだと覚悟しましょう。