60歳以上の8割は「持ち家の一戸建て」に住んでいる
高齢者はどんな家に住んでいるか
老後の住まいについては、どこのどんな家に住むのか、「所有」か「賃貸」など、悩む要素がたくさんあります。
ここでは、国が行なった住宅に関する調査をもとに、現在の高齢者がどんな住宅に住んでいるのか、どんな不満をいだいているのか紹介しましょう。
もととなった調査は、2018年11月に面接方式で行なわれ、全国の60歳以上の男女1,870人が回答しています。
全体の8割以上は「持ち家の一戸建て」に住んでいる
まず、いま住んでいる家の種類から聞いてみましょう。
現在の住まいで、一番多いのは「持ち家の一戸建て」でした。
全体の8割以上の人が、これです。
次に多いのが「賃貸の集合住宅」です。
だいたい全体の1割弱に相当します。
アパートや賃貸マンション、公営や公団などの住宅がこれにあたります。
三番目に多いのが「持ち家の集合住宅」です、これは「分譲マンション」という方が分かりやすいでしょう。
現在の高齢者が住んでいる住まいは、「持ち家の一戸建て」が大半を占めており、残りの2割を「賃貸の集合住宅」と「分譲マンション」が分かち合っています。
今の家に30年以上住んでいる人が多い
次に「現在の住まいに何年住んでいるか」を聞いています。
一番多いのは「31年以上」でした。
全体の半分以上を占めています。
次に多いのが「生まれた時から」で、1割を占めています。
つまり、高齢者の6割は、30年以上も今の住まいに住み続けているのです。
今の家に問題を感じている人は3割
「現在の住まいで困っていること」は何でしょう。
一番多いのは「何も問題点はない」で、全体の6割を超えています。
現在の住まいに問題を感じている人は、3割ちょっとでした。
家の問題は、古いことが原因
現在の住まいに感じている問題点は、どんなことでしょう。
- 住まいが古くなり傷んでいる
- 住宅の構造(段差や階段)や造りが高齢者には使いにくい
- 住宅が広すぎて管理がたいへん
- 台所、便所、浴室などの設備が使いにくい
- 家賃、税金、住宅維持費など住宅に関する経済的負担が重い
住まい自体が古いことや、設計が古いことによる問題が多くを占めています。
これらの解決方法としては、「リフォーム」を望む人が多いのですが、「金銭的理由」が実現をはばんでいます。
「大都市」とそれ以外では、悩むポイントが違う
ここまでのデータは全国を一律に見てきましたが、住んでいる地域を「大都市」に限定すると、かなり状況が異なります。
住まいの形では、一戸建てが減り、「分譲マンション」や「賃貸の集合住宅」に住む人の割合が高くなります。
住まいに関する問題についても「住宅に関する経済的負担が重い」や「住宅が狭い」などを挙げる人が多くなります。
問題の解決方法についても「リフォーム」の比率が下がり、「住み替え」を望む人が増えます。
大都市では、流通する住宅の物件が多いことや、持ち家でない人が多いことから「住み替え」の方が現実的な選択肢なのでしょう。
高齢者の住宅について考えるときは、中小都市や町村と、大都市とでは基本的な状況や問題点が異なることを踏まえて考えましょう。