配偶者がいない高齢男性は、「生きがい」を感じている人が少ない
配偶者の存在が生きがいに影響する
政府が行なった「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」から、高齢者の人間関係に関する項目を紹介します。
この調査によれば、高齢者の生活や幸福感に、家族、特に配偶者(パートナー)の存在が大きく影響することが分かりました。
特に、男性は配偶者の有無によって、生きがいが大きく左右されます。
もととなった調査は、2018年11月に面接方式で行なわれ、全国の60歳以上の男女1,870人が回答しています。
「毎日会話を交わしている」人は9割
まず、「家族を含む人と会話を交わす頻度」を見てみましょう。
回答者の9割は、「毎日」誰かと会話を交わしています。
会話は人間関係の基本ですから、ほとんどの人は、家族を含む誰かと社会的な生活を送ることができています。
「誰かに頼られている」人は7割
もう少し踏み込んだ人間関係で、「日常生活の中で誰に頼られているか」と聞いています。
「頼られている」と感じている人は、全体の7割でした。
逆に言えば、「自分は誰にも頼られていない」と感じている人が、3割いることになります。
「配偶者」と「子供」から頼られている
「頼られている」と感じてる人は、誰に頼られているのでしょう。
一番多いのは「配偶者」ですが、ほぼ差がなく「子供」が続きます。
三番目の「孫」になると、「子供」の半分以下になります
「配偶者」と「子供」は、自分を頼りにしていると感じている高齢者が多いのです。
頼れるのも「配偶者」と「子供」
逆に、自分が困ったときに「頼りになる人」は誰でしょう。
ここでは「病気や一人でできない仕事の手伝いを頼れる人」と聞いてます。
まず、「頼れる人がいない」という人が「3%」います。
「頼れる人がいる」人では、6割以上の人が「配偶者」を挙げています。
いざというときに頼る存在は、やはり「配偶者」なのです。
ついで、同居や別居している「子供」でした。
男性の生きがいは「配偶者」に左右される
「配偶者」との関係を考えるときは、回答者の性別も大きく影響します。
例えば、「あなたは生きがい(喜びや楽しみ)を感じていますか」という質問に、「感じている」と回答している人は、回答者全体では「82.7%」でした。
しかし、これを回答者の性別と、婚姻の状態ごとに見ると、大きな差があります。
「女性」は、婚姻の状態に関わらず、80%前後を維持しています。
つまり、未婚や既婚、そして配偶者との死別や離別(離婚)などの状態は、女性の「生きがい」にはあまり影響していません。
しかし、「男性」は婚姻の状態によって、「生きがい」が大きく変わります。
まず、「未婚」で生きがいを感じている人は「58%」しかいません。
これが「既婚で配偶者と暮らしている」と、「84%」と大きく増えます。
しかし、「配偶者と死別」では「67%」、「配偶者と離別」では「68%」まで下がってしまいます。
極端な言い方をすれば、結婚していなかったり、配偶者と別れた男性は、それだけで生きがいを見失ってしまいやすいのです。
男性が「生きがい」を感じる老後を送るためには、『配偶者と暮らしている』ことが、とても大切な要素であることが分かります。
いま、配偶者またはパートナーと暮らしている男性は、相手にできるだけ長く一緒に暮らしてもらえるように努力しましょう。
それが、自分自身の幸せにも続く道なのです。