首都圏の賃貸住宅が供給過剰で、礼金や敷金が値下がり

[2019/11/7 00:00]

供給過剰で礼金/敷金が下がっている

不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営するタスが、「沈みゆく首都圏の賃貸住宅市場」というレポートを公開しています。

レポートの内容は、首都圏の多くの地域で、賃貸住宅が供給過剰となっており、競争が激しくなっていることを示しています。

激しい競争のもとで、入居者を募集するために、礼金や敷金のような入居時の一時金を下げるしかなく、一時金が2カ月分の家賃を下回る地域が広がっています。

ここでは、タスによる分析の原文と、メッシュマップを掲載します。

なお、文中にある「テナント」は不動産用語で、ここでは「借り手」のことを指します。

沈みゆく首都圏の賃貸住宅市場

バブル期、ミニバブル期、2014年~2018年にかけての賃貸住宅の大量供給により、首都圏の多くの地域の賃貸住宅市場は、「貸し手市場」から「借り手市場」に移行しています。

このような状況下で他の賃貸住宅との差別化を図る場合は、賃貸条件を引き下げるしかありません。
ただし、賃料水準の引き下げは、ボディブローのように収益に影響してきますので、まず引き下げるのは一時費用からということになります。これが、テナントの支払う敷金/礼金が引き下げられている背景となります。

需要が旺盛で競争力の高い地域であれば、敷金/礼金のレベルをそれほど引き下げなくともテナントを確保することが可能です。

一方で、供給過剰でテナント確保が非常に困難な地域では、敷金/礼金のレベルを大きく引き下げる必要があります。つまり、敷金/礼金のレベルは市場の強弱を測るバロメーターとなるのです。

東京都では荒川沿いの葛飾区、足立区、江戸川区、2000年以降大量の大学キャンパスが移転した多摩地域、神奈川県では川崎市から横浜市にかけての湾岸沿いの地域と多摩地域、埼玉県ではさいたま市の中心部を除く武蔵野線の外側の地域、千葉県では千葉市の中心部を除く武蔵野線の外側の地域に敷金/礼金が受領できていない地域が集中しています。

これらの地域は需要の減退や供給過剰で市場が傷んでいる可能性が高い地域です。

出典:タス
[シニアガイド編集部]