日常生活に自家用車が必要不可欠な人は、都会では3割、町村では8割
自家用車の必要性についてのレポート
シンクタンクの第一生命経済研究所が、自家用車の必要性についてのレポートを公開しています。
このレポートは、2019年1月に行なわれたインターネット調査を基にしたもので、全国の18歳~79歳の男女12,400人が回答しています。
都市を離れると、自家用車が必要になる
「日常生活を送る上で、自家用車が必要不可欠である」と回答した人は、住んでいる都市の規模によって大きな差があります。
必要不可欠という人は、「東京都区部」では3割ほどですが、「町村」では8割を超えます。
つまり、大きな都市から離れるほど、自動車への依存度が高くなります。
都市を離れるほど、家族への依存度が高くなる
「ふだん、自家用車で家族の送迎をする/してもらうことが多い」人の割合も、住んでいる都市の規模によって差があります。
「東京都区部」では2割ほどですが、「町村」では4割を超えます。
公共交通機関だけでは、十分な移動ができない地域では、家族間で、移動を助け合っているようすが分かります。
「町村」の10代は、家族の自家用車に依存する
「自家用車で家族の送迎をする/してもらう」人の割合は、年齢によっても大きな差があります。
「町村」に住む「10代」の場合、家族に送迎をしてもらう率が6割を超えます。
同じ「10代」でも、「東京都区部」の場合は、2割ほどに留まっています。
「20代」になると、都市規模による差は縮まり、家族に送迎をしてもらう率は3~4割ほどになります。
これは、「町村」の場合、18歳を過ぎると自動車運転免許証を取得して、自分で自家用車で移動できるようになるからでしょう。
一方、「東京都区部」では大学進学などの理由で、運転免許証の取得時期が遅いため、20代に入っても家族に送迎をしてもらう機会があるのでしょう。
「30代」以降は、多少の変化はあっても、「町村」と「東京都区部」の差は縮まらず、そのままの状態が続きます。
「運転免許証」は自由の証
今回のレポートによって、自家用車への依存度は、住んでいる地域や、その人の年令によって大きく変わることが分かりました。
「東京都区部」に代表される都会の場合、電車やバスなどの公共交通機関が発達しているため、自家用車がなくても、移動手段が確保できます。
一方、「町村」の場合、自家用車以外の移動手段が少ないため、自家用車への依存度が高くなります。
特に、町村に住む10代の場合、家族が持つ自家用車に送迎を依存する機会が多く、自分が運転免許証を取得するまでは、それに頼ることになります。
それだけに、自分が運転免許証を取得して、移動の自由を手に入れるということに、大きな意味があります。
いわば、運転免許証は、ようやく手に入れた「自由の証(あかし)」なのです。
逆に言えば、高齢者が運転免許証を手放したとたんに、10代の頃と同様に、移動の自由を奪われるのですから、運転免許証の返上には、心理的な抵抗が強いことが想像できます。
運転免許証の返上問題を考えるときは、住んでいる地域ごとの事情も考慮する必要があることを再認識させるレポートとなっています。