介護保険の費用が「10兆円」の大台を突破
介護保険の費用が初めて「10兆円」を超えた
2018年度の介護保険による費用が10兆円を超えたことが分かりました。
これは、厚労省の「介護給付費等実態統計」によるもので、介護保険からの給付と利用者の自己負担分を合わせた総額です。
介護保険による費用は、年々増え続けてきましたが、10兆円を突破したのは初めてです。
費用の増加が止まらない
介護保険制度が始まった2000年4月以降の費用の実績を見てみましょう。
2001年度の総額は、約4兆3千億円でした。
しかし、翌年度には、早くも5兆円を突破し、2014年度からは9兆円台となっています。
厚労省は、費用を抑えるために、介護保険制度の改定を重ねていますが、費用の増加を抑え切れず、今回、10兆円の大台を超えてしまったのです。
利用者数は減り始めている
一方、介護保険を利用している「年間実受給者数」は、増加が止まっています。
こちらは、介護予防サービスも含めた、介護保険の利用者数です。
2001年度に介護保険を利用した人は263万人でした。
その後は増加が続き、2015年度には、600万人を突破しています。
しかし、2018年度は、前年度から6万人以上減少して、597万人となり、600万人の大台を切りました。
介護認定が通りにくくなる可能性
今回、明らかになった介護保険の動向から、今後はどんな状況になるかを予想してみましょう。
まず、介護保険の利用者数は、減少の傾向にあります。
これは高齢者人口が増加している現状に対して、不自然な状況です。
推測になりますが、人為的に抑制されている可能性が高いでしょう。
例えば、介護保険を利用するためには、介護認定という認定試験が必要ですが、それが通りにくくなっている可能性があります。
今後は、介護保険の費用総額が増え続けている状況から、利用者の自己負担の割合が増えることが予想されます。
現在は自己負担がないサービスについても、自己負担が発生するようになる可能性もあるでしょう。
今後も介護保険の費用総額は抑えられる方向にあり、そのための施策が厚労省の審議会で提案されています。
来年の国会に提案されるであろう、介護保険に関する法案の内容に注目しましょう。
可能性があるなら利用実績を作っておこう
このような介護保険の状況に対して、私達ができる対策はあるのでしょうか。
現状でできる対策は、介護保険の利用実績を作っておくことです。
例えば、身の回りに介護を必要とする人がいるのであれば、できるだけ早く、「地域包括支援センター」か役所の窓口に相談しましょう。
そして、介護認定を受けて、その結果に応じた介護保険の利用実績を作っておきましょう。
一度でも、利用実績があれば、将来的に介護保険を利用できなくなる可能性が少なくなります。
「まだ大丈夫だから、もう少し様子を見てから」と思っていると、状況が変わってしまい、介護認定が通りにくくなったり、要介護度が軽めに判定される可能性があります。
早めに、「介護認定を受けた」という実績を作り、地元の自治体に「介護が必要な人」として認識してもらいましょう。